衛生管理者 関係法令(有害業務以外) 問65:健康管理
定期健康診断(安衛則第44条)に関する次の記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア定期健康診断は、常時使用する労働者に対し、1年以内ごとに1回、定期に実施しなければならない。
- イ医師が必要でないと認めるときは、定期健康診断の項目のうち、腹囲の検査を省略することができる。
- ウ事業者は、定期健康診断の結果を、遅滞なく、受診した労働者に通知しなければならない。
- エ常時50人以上の労働者を使用する事業者は、定期健康診断を実施したときは、定期健康診断結果報告書を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
- オ定期健康診断を実施した場合の記録の保存期間は3年間である。正答
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誤りはオです。定期健康診断の記録の保存期間は5年間です(安衛則第51条)。3年間ではありません。3年保存は衛生委員会の議事録・産業医の勧告記録等であり、健康診断記録と混同しやすい点です。
ア(1年以内ごとに1回)、イ(腹囲の省略要件あり)、ウ(結果を遅滞なく本人通知義務)、エ(50人以上は結果報告書の監督署提出義務)はいずれも正しい記述です。健康診断関連の記録保存期間は「5年」と確実に覚えることが重要です。
定期健康診断の実施・記録・報告に関する規定:
各選択肢の正誤と根拠:
- ア(正): 安衛則第44条第1項により、常時使用する労働者に対して1年以内ごとに1回の定期実施義務があります。「常時使用する労働者」の定義(週30時間以上・1年以上雇用等の要件を満たすパートタイム労働者を含む)も重要です。
- イ(正): 安衛則第44条第1項ただし書により、医師が必要でないと認める場合に省略できる項目があります。腹囲の検査は、BMI20未満・自ら腹囲を測定しその値を申告した場合等に省略可能な項目の一つです(安衛則第44条第1項第5号の2に関する省略規定)。
- ウ(正): 安衛法第66条の6により、健康診断(定期・特殊等)を実施した事業者は、受診労働者に結果を遅滞なく通知しなければなりません。
- エ(正): 安衛則第52条により、常時50人以上の労働者を使用する事業者は、定期健康診断実施後に結果報告書を所轄労働基準監督署長へ提出しなければなりません。
- オ(誤): 安衛則第51条により、定期健康診断の記録の保存期間は5年間です。3年ではありません。衛生委員会議事録(3年)・産業医勧告記録(3年)との混同に注意が必要です。
【理論的背景】
定期健康診断(安衛則第44条)は、労働者の健康状態を定期的に把握し、職業病・生活習慣病の早期発見・早期対応を図ることを目的としています。1972年の安衛法制定以降、項目の追加・省略規定の整備が行われてきました。2008年のメタボ健診(特定健診)との整合性から腹囲の検査が追加され、一方で省略条件も設けられました。
【実務・条文構造】
定期健康診断の11項目(安衛則第44条第1項各号):
1. 既往歴・業務歴の調査
2. 自覚症状・他覚症状の有無の検査
3. 身長・体重・腹囲・視力・聴力の検査
4. 胸部エックス線検査・喀痰検査
5. 血圧の測定
6. 貧血検査(血色素量・赤血球数)
7. 肝機能検査(GOT・GPT・γ-GTP)
8. 血中脂質検査(LDLコレステロール・HDLコレステロール・血清トリグリセライド)
9. 血糖検査
10. 尿検査(尿中の糖・蛋白の有無)
11. 心電図検査
省略可能な項目と条件(安衛則第44条第1項ただし書・安衛則第44条の2):
- 身長: 20歳以上は省略可(前回結果等から医師が不要と認めた場合)
- 腹囲: BMI20未満・または自ら腹囲を測定し申告した者で医師が不要と認めた場合
- 喀痰検査: 胸部エックス線検査で異常なく・医師が不要と認めた場合
- 貧血検査・肝機能検査・血中脂質・血糖・心電図: 35歳未満(ただし40歳は省略不可)かつ医師が不要と認めた場合
重要な省略不可ルール: 40歳・35歳の節目年齢の検査はより厳格な項目適用が求められます。
記録保存・報告義務の整理:
| 事項 | 規定内容 |
|-----|--------|
| 記録の保存期間 | 5年(安衛則第51条) |
| 結果の本人通知 | 遅滞なく(安衛法第66条の6) |
| 報告書提出義務 | 常時50人以上の事業場(安衛則第52条) |
| 就業措置の記録 | 5年保存(安衛則第51条の2) |
| 医師意見聴取 | 遅滞なく(安衛法第66条の4) |
健康診断における保存期間の分類:
- 5年保存: 定期健診記録・特定業務従事者健診記録・面接指導結果・ストレスチェック記録
- 3年保存: 衛生委員会議事録・産業医勧告記録
- 30年保存: 一部の特殊健康診断(石綿則・特化則)
【試験での位置づけ】
定期健診関連では「項目の省略条件」「保存期間5年」「50人以上の報告義務」「本人通知義務」が頻出です。特に保存期間「5年」は「3年」との混同が最多の誤りパターンであり、本問でも正答の根拠となっています。また「40歳節目年齢で省略不可」という規定も試験に登場します。
【各選択肢の発展補足】
- ア: 「常時使用する労働者」の定義として、パートタイム労働者等でも①期間の定めのない契約または1年以上の使用が見込まれる者、かつ②1週間の所定労働時間が正社員の4分の3以上の者が対象になります(行政解釈)。
- イ: 腹囲の省略は「医師が必要でないと認めるとき」という要件が核心です。単に本人が嫌だからという理由では省略できません。BMI20未満という基準は「腹囲の測定が必要なほど内臓脂肪蓄積リスクがない」という医学的根拠に基づいています。
- ウ: 結果通知の「遅滞なく」は、原則として健診実施後速やかに書面または電子的方法で行います。結果通知は個人情報保護に配慮して本人のみに伝えることが原則であり、無断で事業者が全結果を把握することは制約を受けます(要配慮個人情報)。
- エ: 50人以上の報告書提出義務は、行政が事業場規模別の健康診断実施状況・有所見率等を把握するためのものです。報告書には所見ありの者の数・受診率・措置状況等を記載します。
- オ: 5年保存の根拠は「将来の職業病認定・健康管理上の参照が必要になる可能性」です。例えば過去の健診結果を遡って作業関連性を検討する場合に5年分の記録が必要です。特殊健診で30年保存が求められる物質(ベンゼン等)は、潜伏期間の長い職業病(白血病等)への対応から設定されています。
【根拠法令】労働安全衛生法 第66条(健康診断実施義務)・第66条の6(結果通知義務)、労働安全衛生規則 第44条(定期健診の項目・省略)・第51条(記録の5年保存)・第52条(50人以上の報告義務)
【補足】定期健診記録の保存は5年(3年ではない)。50人以上は報告書提出義務あり。項目省略は「医師が不要と認めるとき」が要件。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働安全衛生法(安衛法)第66条・第66条の6(健康診断・結果通知)、労働安全衛生規則(安衛則)第44条〜第52条(定期健康診断の項目・省略・記録・報告)。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。