関係法令(有害業務以外)66労働基準法

衛生管理者 関係法令(有害業務以外) 問66:労働基準法

労働基準法の適用範囲に関する次の記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • 労働基準法は、国の機関に勤務する公務員にも全面的に適用されるため、国家公務員・地方公務員を問わず本法の定める労働条件が保障される。
  • 事業主と同居する親族のみを使用する事業および家事使用人については、労働基準法の一部が適用除外となっている。
  • 常時5人未満の労働者を使用する農業・水産業の事業場においては、労働時間・休憩・休日の規定が適用除外となるが、安全衛生の規定は適用される。正答
  • 同居の親族が同一事業場で家族以外の労働者と一緒に働いている場合でも、当該同居の親族は労働基準法の保護を受けることができない。
  • 労働基準法の適用を受けない使用者も、最低賃金法の適用は受けるため、同居の親族に対しても最低賃金以上の賃金を支払わなければならない。
正答:常時5人未満の労働者を使用する農業・水産業の事業場においては、労働時間・休憩・休日の規定が適用除外となるが、安全衛生の規定は適用される。

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正しいのはウです。農業・水産業は労働時間・休憩・休日の規定(労基法第32条〜第35条等)が適用除外ですが(労基法第41条第1号)、安全衛生に関する規定は別途安衛法が適用されます。

各誤り: ア→国家公務員は「国家公務員法等の特別法」が適用され労基法は全面適用されません。イ→「一部」ではなく「全部」の適用除外です(労基法第116条第2項)。エ→同居の親族でも他の労働者と一緒に就労していれば労基法が適用される場合があります(行政解釈)。オ→同居の親族は最低賃金法の適用も受けない場合があります。

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労働基準法の適用除外(労基法第116条等)の全体像:

各選択肢の正誤と根拠:

  • ア(誤): 国家公務員は国家公務員法・人事院規則、地方公務員は地方公務員法が適用され、労基法は原則として全面的には適用されません。ただし一般職地方公務員には一部の規定(安全衛生等)が準用される場合があります。「全面的に適用される」という断言が誤りです。
  • イ(誤): 労基法第116条第2項は「同居の親族のみを使用する事業および家事使用人については、この法律は適用しない」と定めており、全部適用除外です。「一部が適用除外」という記述が誤りです。
  • ウ(正): 労基法第41条第1号により、農業・水産業の事業場は労働時間・休憩・休日の規定の適用除外ですが、安全衛生関係(安衛法)・賃金・解雇等の他の規定は適用されます。
  • エ(誤): 同居の親族でも、他の一般労働者と同じ就業条件で働いている実態があれば、労働者性が認められる場合があります(行政解釈・昭和54年通達)。一律に保護を受けられないわけではありません。
  • オ(誤): 最低賃金法は同居の親族のみを使用する事業者への適用除外があります(最低賃金法第7条)。労基法と最低賃金法は連動した適用除外となっています。
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【理論的背景】

労働基準法の適用範囲(労基法第116条)は、制定当初から一定の適用除外を設けています。その背景には、労使関係が「家族関係」「公法上の特別な関係」として規律されてきた日本の歴史的経緯があります。同居の親族のみを使用する事業は「家業」であり、典型的な雇用関係とは性質が異なるとして全部除外が定められました。

農業・水産業の時間規制除外は、天候・季節・生物サイクルに左右される業種特性から、画一的な労働時間規制になじまないという判断に基づいています。しかし安全衛生は業種・事業形態を問わず必要な保護であるため、時間規制は除外しても安衛法の適用は維持されるという設計になっています。

【実務・条文構造】

労働基準法の主な適用除外一覧:

| 根拠規定 | 適用除外の対象 | 除外される範囲 |

|--------|-------------|------------|

| 第116条第1項 | 船員(船員法適用) | 第1章〜第11章(ほぼ全部) |

| 第116条第2項 | 同居の親族のみを使用する事業・家事使用人 | 全部(この法律を適用しない) |

| 第41条第1号 | 農業・水産業 | 労働時間・休憩・休日の規定 |

| 第41条第2号 | 管理監督者・機密の事務取扱者 | 労働時間・休憩・休日の規定 |

| 第41条第3号 | 監視・断続的労働従事者(行政許可) | 労働時間・休憩・休日の規定 |

| 第41条の2 | 高度プロフェッショナル制度対象者 | 労働時間・休憩・休日・割増賃金の規定 |

同居の親族の「労働者性」判断基準(昭和54年4月2日基発153号等):

  • 同居の親族でも他の従業員と同様の労働条件で就業している実態があれば労働者性が認められる
  • 判断要素: ①業務内容が同一か、②就業時間管理が同一か、③賃金が他従業員と同水準か
  • 一人親方・家族経営の農家等では各実態に応じて判断

農業・水産業と安衛法の関係:

  • 労基法の時間規制は除外(農業・水産業の特殊性から)
  • 安衛法は基本的に全業種に適用(ただし農業の一部規定について特例あり)
  • 安衛法に基づく衛生管理者の選任義務・健康診断義務は農業・水産業にも適用

最低賃金法の適用除外(最低賃金法第7条):

  • 同居の親族のみを使用する事業者
  • 家事使用人
  • 精神または身体の障害により著しく労働能力の低い者(所轄都道府県労働局長の許可)

【試験での位置づけ】

適用除外の論点は「全部除外か一部除外か」「除外の根拠規定と対象」の正確な知識が問われます。特に「同居の親族のみを使用する事業=全部除外」「農業・水産業=時間規制のみ除外(安衛法は適用)」の対比が頻出です。管理監督者の適用除外(労基法第41条第2号)も関連する論点で、「時間規制からは除外されるが深夜割増賃金・健康診断・面接指導は適用される」というセットで理解が必要です。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 公務員への労基法適用の問題は、国家公務員(国家公務員法・人事院規則)と地方公務員(地方公務員法)で異なり、さらに企業職員(地方公営企業法)や現業職員では一部適用があるなど複雑です。衛生管理者試験では深入りせず「国家公務員・地方公務員には労基法が全面的には適用されない」という理解で足ります。
  • イ: 「一部除外」と「全部除外」の違いは実務上大きく異なります。家事使用人が使用者から労働条件違反を受けても、労基法の保護を援用できない点が問題視されており、立法論的な議論があります。
  • ウ: 農業・水産業での安衛法適用(衛生管理者・健康診断等)は、これらの産業における農薬中毒・熱中症・農業機械事故等のリスクから設けられています。時間管理は除外しても健康保護は必要という立場です。
  • エ: 行政解釈(昭和54年通達)により、同居の親族でも「一般の労働者と同様の実態で就業している」場合は労働者性が認められます。家族経営の事業に外部の従業員がいて、その親族も同様に就業している場合が典型例です。
  • オ: 最低賃金法も同居の親族については適用除外としており、労基法と連動した設計になっています。ただし適用除外の解釈は実態判断であり、「同居の親族であればいかなる場合も最低賃金不適用」とは限りません。

【根拠法令】労働基準法 第116条第2項(同居の親族・家事使用人の全部適用除外)・第41条第1号(農業・水産業の時間規制除外)、最低賃金法 第7条(適用除外)

【補足】同居の親族のみを使用する事業は労基法全部除外。農業・水産業は時間規制は除外だが安衛法は適用。「一部除外」「全部除外」を正確に区別すること。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働基準法(労基法)第116条(適用除外)・第41条第1号(農業等の適用除外)、労働安全衛生法(安衛法)第2条(事業場の定義・適用範囲)。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

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