関係法令(有害業務以外)76安全衛生管理体制

衛生管理者 関係法令(有害業務以外) 問76:安全衛生管理体制

労働安全衛生法における「事業場」の単位および適用に関する次の記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 安全衛生管理体制(衛生管理者・産業医等の選任義務)は、企業単位ではなく「事業場」を単位として適用される。
  • 同一の企業に属する複数の事業場(本社・工場・支店等)は、それぞれ独立した「事業場」として扱われ、各事業場ごとに衛生管理者の選任義務が生じる。
  • 本社と同じ建物内にある支社(ビル内の別フロア)が独立した経営管理を行っている場合、それぞれ独立した事業場として扱われることがある。
  • 出張所・営業所等で常時労働者数が5人以下の場合は、独立した「事業場」とは扱われず、常時最も近い事業場に含まれる。
  • ビルの清掃業務を請け負っている企業が当該ビルで作業員を就業させている場合、当該作業についての安衛法上の事業者としての義務(衛生管理者の選任等)は、作業員を雇用する清掃請負業者ではなく、ビルの所有者(発注者)が負う。正答
正答:ビルの清掃業務を請け負っている企業が当該ビルで作業員を就業させている場合、当該作業についての安衛法上の事業者としての義務(衛生管理者の選任等)は、作業員を雇用する清掃請負業者ではなく、ビルの所有者(発注者)が負う。

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誤りはオです。清掃請負業者がビル内で作業員を就業させる場合、その作業についての安衛法上の事業者としての義務(衛生管理者の選任等)は、作業員を雇用する清掃請負業者が負います。請負では作業員は清掃業者の指揮命令下にあり、清掃業者が「事業者」だからです。ビルの所有者(発注者)が負うという記述は誤りです(ビル所有者は施設・設備の安全確保義務等を別途負うことはありますが、清掃作業員に対する事業者としての義務は負いません)。

ア(事業場単位の適用)、イ(複数事業場は各独立)、ウ(同一ビルでも独立経営なら別事業場)、エ(5人以下の小規模は近い事業場に含まれる)はいずれも正しい記述です。

標準試験対策の基準レベル

安衛法の「事業場」の概念と適用単位(昭和47年基発602号):

各選択肢の正誤と根拠:

  • ア(正): 安衛法の管理体制規定(衛生管理者・産業医等)は企業ではなく「事業場」を単位として適用されます。同一企業でも各事業場が独自に衛生管理者等を選任する必要があります。
  • イ(正): 同一企業の本社・工場・支社等は、それぞれ独立した「事業場」として安衛法が適用されます。従って各事業場で常時50人以上であれば、それぞれの事業場ごとに衛生管理者・産業医の選任義務が生じます。
  • ウ(正): 同一ビル内であっても、独立した経営管理・指揮命令系統を持つ単位は「事業場」として扱われます。物理的な場所の隣接だけでなく「経営管理の独立性」が判断基準です(昭和47年基発602号)。
  • エ(正): 出張所・営業所等で「常時5人以下」の場合は、独立した事業場とは扱われず、最も近い事業場に統合して労働者数をカウントします(行政解釈)。
  • オ(誤): ビルで清掃請負業者が作業する場合、清掃業者が「事業者」として当該作業場所での安全衛生管理義務(衛生管理者の選任等)を負います。請負では作業員は清掃業者の指揮命令下にあり、清掃業者が雇用主=事業者だからです。ビルの所有者(発注者)がこれらの義務を負うわけではありません(ビル所有者は施設・設備の安全確保義務(安衛法第31条等)を別途負うことはあります)。
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【理論的背景】

「事業場」の概念は安衛法の適用単位として重要です。同一企業内の複数拠点を「一つの事業場」として扱うか「別々の事業場」として扱うかで、衛生管理者・産業医の選任義務・衛生委員会の設置義務が変わります。

昭和47年基発602号通達は「一の事業場とするかどうかは、主として、場所的観点から決定すべきで、同一場所にあるものは原則として一事業場とし、場所的に分散しているものは原則として別個の事業場として扱う」という基準を示しています。しかし同一場所でも労働の態様が著しく異なる部門があれば別事業場扱いとする場合もあります。

【実務・条文構造】

事業場の判定基準(昭和47年9月18日基発602号・行政解釈):

原則: 場所的基準

  • 同一場所(同一建物・同一敷地)にある部門・部署 → 原則として一事業場
  • 場所的に分散している(別の建物・別の住所) → 原則として別事業場

例外:

  • 同一場所でも「経営管理・指揮命令系統が全く独立している」場合 → 別事業場
  • 場所が異なっても「規模が極めて小さく(常時5人以下)」 → 最近接事業場に統合

複数事業場での衛生管理義務の適用例:

  • 本社(100人)・工場(200人)・営業所A(70人)・営業所B(30人)の場合:

- 本社: 衛生管理者2人以上・産業医1人・衛生委員会設置

- 工場: 衛生管理者3人以上・産業医1人・衛生委員会設置

- 営業所A: 衛生管理者2人以上・産業医1人・衛生委員会設置

- 営業所B: 衛生管理者1人以上(産業医は任意・衛生委員会不要)

請負と派遣の安衛法上の扱いの違い:

| 区分 | 指揮命令 | 安衛法の義務者 |

|-----|--------|------------|

| 労働者派遣 | 派遣先が指揮 | 派遣先(使用者として) |

| 請負 | 請負業者が指揮 | 請負業者(事業者として) |

清掃・警備・設備保守等の請負業者が他社施設内で作業する場合:

  • 作業員は請負業者の指揮下 → 請負業者が安衛法上の事業者として義務を負う
  • ただし施設の所有者・注文者も一定の安全配慮義務(元方事業者の義務等)を負う場合がある

元方事業者・注文者の安衛法上の義務(安衛法第29条・第31条):

  • 製造業・建設業等の元方事業者: 関係請負人への安全衛生管理の指示・指導義務
  • 注文者: 設備・機械等を使用させる際の安全確保義務

【試験での位置づけ】

「事業場」の概念は、衛生管理者選任義務の「常時50人」の計算単位として基本的な論点です。「同一企業でも事業場ごとに義務が生じる」「5人以下は近接事業場に統合」「請負と派遣の安衛法上の義務者の違い」が試験ポイントです。本問オの「清掃作業員に対する事業者義務はビル所有者(発注者)が負う」という誤りは、請負では雇用主(清掃業者)が事業者として義務を負うという原則の理解で見抜けます。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 「企業単位」ではなく「事業場単位」という原則は、安衛法の名宛人が「事業者」(事業を経営する主体)であることに由来しますが、選任義務・委員会設置義務等の具体的義務は各事業場の規模で判断されます。
  • イ: 本社が衛生管理者を選任しても工場の選任義務は別個に生じます。大企業でも「全社で1人の衛生管理者」では済まず、事業場ごとに確保が必要です。
  • ウ: 同一ビル内の別会社(テナント企業)はそれぞれ独立した事業場です。ビル管理会社と入居企業の安全衛生義務は別個に生じます。
  • エ: 5人以下の統合ルールは、小規模出張所に独立した衛生管理者を置くことが現実的でないための実務的解釈です。「5人以下」という数値は条文ではなく行政解釈による基準です。
  • オ: 清掃業者・警備業者等の常駐請負業者が他社施設で作業する場合、清掃作業員に対する事業者としての安衛法上の義務は請負業者(雇用主)が担います。ビル所有者(発注者)は施設・設備の安全確保義務(安衛法第31条等)を別途負うことはありますが、清掃作業員に対する衛生管理者選任等の義務は負いません。

【根拠法令】労働安全衛生法 第2条・第5条・第6条(事業場の概念・適用単位)・第31条(注文者の設備等の安全確保義務)、昭和47年9月18日基発602号(事業場の判断基準・場所的観点)

【補足】安衛法は事業場単位で適用。同一企業の複数事業場は各独立。5人以下の出張所は最近接事業場に統合。請負作業員に対する事業者義務は請負業者(雇用主)が負う(発注者ではない)。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働安全衛生法(安衛法)第2条(定義)・第5条・第6条(建設業・製造業等の安全衛生管理)、厚生労働省通達(昭和47年9月18日基発602号:事業場の概念)。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

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