危険物乙四 基礎的な物理学及び基礎的な化学 問10:消火の理論
消火の方法とその原理の組合せに関する次の記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア除去消火 ── 燃えている可燃物そのものを取り除く(ガスの元栓を閉じる等)。
- イ窒息消火 ── 燃焼に必要な酸素の供給を遮断する(泡や二酸化炭素で覆う等)。
- ウ冷却消火 ── 燃焼物から熱を奪い温度を下げて燃焼を止める(注水等)。
- エ抑制消火 ── 燃焼の連鎖反応を化学的に断ち切る(ハロゲン化物・粉末等の負触媒作用)。
- オ窒息消火 ── 燃焼の連鎖反応を促進して一気に燃やし尽くすことで火を消す。正答
AI解説(初心者・標準・上級)
理解度に合わせて3レベルの解説を無料で読めます。根拠も明記。
誤っているのはオです。窒息消火は酸素を遮断する方法で、「連鎖反応を促進して燃やし尽くす」ものではありません(それは消火ではない)。
- ア(正): 除去消火=可燃物を取り除く。
- イ(正): 窒息消火=酸素を遮断する。
- ウ(正): 冷却消火=熱を奪って温度を下げる。
- エ(正): 抑制消火=連鎖反応を断つ(負触媒)。
- オ(誤): 窒息消火は酸素遮断。連鎖反応の促進ではない。
「除去(可燃物)・窒息(酸素)・冷却(熱)・抑制(連鎖反応)」の対応を固定します。
消火の四原理:
消火は、燃焼の四要素(可燃物・酸素供給源・点火源/熱・連鎖反応)のいずれかを断つことで成立します。
- ア(正): 除去消火=可燃物を取り除く。ガスの元栓を閉じる、可燃物を移動する、危険物の流出を止める等。
- イ(正): 窒息消火=酸素供給を遮断する。泡・二酸化炭素・粉末・不燃ガス・乾燥砂等で火面を覆う。第4類火災の基本。
- ウ(正): 冷却消火=燃焼物から熱を奪い温度を下げ、可燃性蒸気の発生を止める。注水(水は比熱・蒸発熱が大きく冷却力が高い)等。
- エ(正): 抑制消火(負触媒消火)=燃焼の連鎖反応を化学的に断ち切る。ハロゲン化物・粉末消火剤の負触媒作用。
- オ(誤): 窒息消火の原理は酸素遮断であり、「連鎖反応を促進して燃やし尽くす」ではない。連鎖反応を促進すれば燃焼は激しくなる(むしろ逆)。本問の正答(誤り)。
第4類火災での適用: 窒息(泡・CO₂・粉末)と抑制(ハロゲン・粉末)が中心。冷却(棒状注水)は液面拡大で原則不適。
引っかけパターン: 窒息消火の原理を連鎖反応の促進・冷却などにすり替える(オ)。「窒息=酸素遮断」を固定。
【理論的背景】
燃焼は可燃物・酸素・熱(点火源)の三要素に連鎖反応を加えた四要素で継続します。消火はこのいずれか一つを断てば成立し、断つ要素に応じて除去・窒息・冷却・抑制の4原理に分類されます。実際の消火剤は複数の原理を併せ持つことが多く(例: 粉末は窒息+抑制)、対象の危険物の性質に応じて適切な消火法・消火剤を選びます。第4類危険物では、水による冷却が液面拡大の問題で原則使えないため、窒息と抑制が中心になります。
【実務・条文構造(消火原理の整理)】
- 除去消火: 可燃物を断つ。ガスの元栓・バルブを閉じる、燃焼源から可燃物を遠ざける、流出した危険物をせき止める・移送する。
- 窒息消火: 酸素供給を断つ。泡(液面を泡膜で覆う)、二酸化炭素(酸素濃度を下げる)、粉末(火面を覆う)、不燃ガス、乾燥砂、ふた等。第4類火災の主力。
- 冷却消火: 熱を奪い温度を下げ、可燃性蒸気の発生を止める。水は比熱(約4.2J/(g·K))・蒸発熱が大きく冷却力が高い。ただし第4類への棒状注水は液面拡大で原則不適。
- 抑制(負触媒)消火: 燃焼の連鎖反応(ラジカル連鎖)を化学的に止める。ハロゲン化物消火剤・粉末消火剤の負触媒作用。
消火剤と原理の対応(第4類):
- 泡: 窒息(水溶性液体には耐アルコール泡)。
- 二酸化炭素: 窒息。
- 粉末(ABC等): 窒息+抑制。速効性が高い。
- ハロゲン化物: 抑制(負触媒)。
- 水(棒状): 冷却だが第4類には原則不適(液面拡大)。
「連鎖反応を促進する」は燃焼を激化させる方向で、消火とは正反対です。抑制消火は連鎖反応を「断つ(抑える)」ものであり、促進ではありません。
【試験での位置づけ】
消火の四原理は物理化学・性質で頻出です。核心は(1)除去=可燃物、(2)窒息=酸素遮断、(3)冷却=熱を奪う、(4)抑制=連鎖反応を断つ(負触媒)。引っかけは原理と方法の組合せのすり替え(窒息を連鎖反応の促進とする等)です。各消火剤がどの原理に対応するか(泡・CO₂=窒息、粉末=窒息+抑制、ハロゲン=抑制、水=冷却)を一表で押さえ、第4類への適否(窒息・抑制が中心、棒状注水は原則不適)とリンクさせます。
【各選択肢の発展補足】
- ア(正): 除去消火=可燃物を取り除く。
- イ(正): 窒息消火=酸素遮断。
- ウ(正): 冷却消火=熱を奪う。
- エ(正): 抑制消火=連鎖反応を断つ(負触媒)。
- オ(誤・正答): 窒息消火は酸素遮断。連鎖反応の促進ではない。
【根拠】確立した消火理論(除去・窒息・冷却・抑制)。
【補足】除去=可燃物/窒息=酸素遮断/冷却=熱を奪う/抑制=連鎖反応を断つ。第4類は窒息・抑制が中心、棒状注水は原則不適。
<!-- 監修確定 2026-06-03: 消火の四原理(除去/窒息/冷却/抑制)と方法の対応は確立消火理論と一致。正答オ(窒息を連鎖反応促進とする=誤り)。誤りなし。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 確立した消火理論。消火は燃焼の四要素(可燃物・酸素・熱・連鎖反応)のいずれかを断つ。除去=可燃物、窒息=酸素遮断、冷却=熱を奪う、抑制=連鎖反応を断つ(負触媒)。「連鎖反応を促進して燃やし尽くす」は消火ではなく、窒息消火の原理として誤り。 現行の消防法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。