登録販売者 第2章 人体の働きと医薬品 問2:人体の働きと医薬品
消化管の構造と機能に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア小腸(十二指腸・空腸・回腸)は、消化物の大部分を吸収する主要部位であり、その内面は絨毛(じゅうもう)とよばれる突起を持ち、吸収面積を広げている。
- イ胃では消化(タンパク質の初期消化)が行われるが、栄養素の本格的な吸収の場は小腸であり、大腸は主に水分・電解質の吸収と糞便の形成に関わる。
- ウ十二指腸では、膵臓から分泌される膵液(消化酵素)と胆嚢から分泌される胆汁が合流し、タンパク質・糖質・脂肪の消化が進められる。
- エ大腸(結腸〜直腸)は、食物から栄養素を吸収する主要な場であり、ここで吸収されたグルコース・アミノ酸が門脈を経由して肝臓に運ばれる。正答
- オ食道は消化酵素を分泌しない輸送管であり、蠕動運動によって食物を胃へ送る役割を持つ。
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正答はエ(誤っているもの)です。
栄養素(グルコース・アミノ酸・脂質など)の本格的な吸収は大腸ではなく、小腸で行われます。大腸の主な役割は水分・電解質の吸収と糞便の形成です。エの「大腸が栄養素を吸収する主要な場」という記述は誤りです。
ア・イは消化管の基本的な役割分担を正確に述べています。ウは正しく、十二指腸が膵液と胆汁を受け取って脂肪・タンパク質・糖質の消化を進めることを正確に表現しています。オも正しく、食道は消化酵素を持たない輸送管で、蠕動運動で食物を胃へ送ります。
各選択肢の解説:
- ア(正): 小腸(約6〜7m)の内壁は輪状ヒダ(皺壁)→絨毛(約1mm)→微絨毛(刷子縁)という3段階の構造で吸収面積を大幅に増大させています。テニスコート1面分(約250〜400m²)ともいわれる吸収表面積を持ちます。絨毛内には毛細血管とリンパ管(乳糜管)があり、水溶性栄養素は血管に、脂質はリンパ管に吸収されます。
- イ(正): 胃ではペプシン(ペプシノーゲン→塩酸により活性化)によるタンパク質の初期消化が行われますが、アミノ酸への完全分解と吸収は主に小腸で行われます。大腸(結腸・横行結腸・下行結腸・S状結腸・直腸)は水分と電解質(ナトリウム・カリウム等)を吸収し、残渣を糞便として成形します。
- ウ(正): 十二指腸は小腸の最初の部分(約25cm)で、膵管と胆管が合流して開口する部位(ファーター乳頭・大十二指腸乳頭)を持ちます。膵液は膵臓が分泌する消化酵素(アミラーゼ・リパーゼ・トリプシン等)を含み、胆汁は脂肪の乳化を助けます。
- エ(誤・正答): 栄養素(グルコース・アミノ酸・脂肪酸・モノグリセリド)の本格的な吸収は小腸で行われます。大腸での主要な機能は水分・電解質の吸収と糞便形成であり、栄養素の主要な吸収の場ではありません。大腸で吸収された水分は門脈を経て肝臓に向かいますが、グルコース・アミノ酸の吸収は小腸で完了しています。
- オ(正): 食道は咽頭から胃につながる管(約25cm)で、消化酵素を分泌しない輸送管です。蠕動運動(筋肉の波状収縮)によって食物を胃へ送ります。食道は重力がなくても逆さでも食物を胃へ送れることがこの蠕動運動のおかげです。
【消化管の解剖と機能:系統的理解】
消化管は口腔から肛門まで一連の管(全長約9m)で構成されます。各部位の機能を系統的に理解することが第2章の基礎です。
口腔・咽頭・食道
- 口腔: 咀嚼(機械的消化)・唾液(アミラーゼ〔プチアリン〕による糖質の初期消化、リゾチームによる殺菌)
- 咽頭: 食物と空気の交差点。嚥下反射により食道に食物を送る。
- 食道: 約25cm・消化酵素なし・蠕動運動のみ。下部食道括約筋(LES)の異常が逆流性食道炎の原因。
胃
- 食物の一時貯留(3〜4時間)
- 壁細胞:塩酸(HCl)分泌→pH 1〜2の強酸環境・殺菌・ペプシノーゲン活性化
- 主細胞:ペプシノーゲン分泌→HClによりペプシンに活性化→タンパク質をポリペプチドに分解
- 副細胞(頸粘液細胞):粘液分泌→胃壁保護
- 胃内でのアルコール吸収(少量)・水溶性が高く脂溶性が低い薬物は胃でほとんど吸収されない
小腸(十二指腸・空腸・回腸)
- 十二指腸(約25cm): 膵液(アミラーゼ・リパーゼ・トリプシン・キモトリプシン・エラスターゼ・ヌクレアーゼ)+ 胆汁(胆汁酸による脂肪乳化)の合流→本格的な消化開始
- 空腸(小腸上部2/5): 絨毛密度最大・栄養素吸収の主要部位。グルコース・アミノ酸・脂肪酸は主に空腸で吸収。
- 回腸(小腸下部3/5): ビタミンB12(内因子と複合体を形成)・胆汁酸の選択的再吸収
- 水溶性栄養素(グルコース・アミノ酸・水溶性ビタミン・ミネラル)→毛細血管→門脈→肝臓
- 脂肪(脂肪酸・モノグリセリド→小腸上皮細胞で再合成→カイロミクロン形成)→乳糜管→胸管→左鎖骨下静脈(門脈を経由しない・初回通過効果なし)
大腸(盲腸・結腸・直腸)
- 大腸全体で1日約1.5Lの水分が吸収される(小腸で8〜9L吸収後の残り)
- 腸内細菌叢(大腸菌・ビフィズス菌・乳酸桿菌等)が常在→ビタミンK産生・食物繊維の発酵分解
- 直腸:糞便の一時貯留→直腸内圧上昇→便意→排便反射
【薬の吸収と消化管構造の関係】
消化管の解剖学的知識は薬物動態(吸収)の理解に直結します:
- pH依存性吸収: 弱酸性薬物(アスピリン等)は胃(酸性)で非イオン化型になり吸収されやすい。弱塩基性薬物は小腸(弱アルカリ性)で吸収されやすい。
- 吸収面積: 小腸は消化管中最大の吸収面積→ほとんどの薬物は小腸で主に吸収される。
- 食事の影響: 脂溶性薬物は高脂肪食後に吸収が増大(食事に溶けて吸収)。水溶性薬物は食後に吸収が遅延(胃排出速度の低下)。
【試験での位置づけ】
「大部分の栄養素吸収は小腸(大腸ではない)」は第2章で最も重要な知識の1つです。「胃は消化するが本格吸収はしない」「大腸は水分吸収と糞便形成が主」という3段階の役割分担を正確に覚えておくことで、この分野の設問の大半に対応できます。十二指腸への膵液・胆汁の合流も頻出ポイントです。
【根拠】厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第2章第1節
<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): 消化管の構造・機能を標準解剖学と突合。①栄養素の本格的吸収は小腸(大腸は水分・電解質吸収と糞便形成)が核心で、設問エ「大腸が栄養素吸収の主要な場」は明白な誤り→正答エは一意に確定。②小腸6〜7m・十二指腸約25cm・絨毛/微絨毛による吸収面積拡大・脂質のリンパ管(乳糜管)→胸管経路は標準値/標準記述で整合。③胃のペプシンによるタンパク質初期消化、十二指腸での膵液・胆汁合流も正確。設問・正答の事実誤りなし。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第2章 第1節「消化器系」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。