登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問130:主な医薬品とその作用(生薬製剤・滋養強壮薬・鎮咳去痰薬)
バクモンドウ、テンモンドウ、ゴミシ、サンヤクの基原および主な作用に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- アバクモンドウ(麦門冬)はユリ科植物ジャノヒゲ等の根の膨大部を基原とし、鎮咳・去痰・滋養作用を持つ。
- イテンモンドウ(天門冬)はユリ科植物クサスギカズラの根の膨大部を基原とし、滋養強壮・鎮咳に用いられる。
- ウゴミシ(五味子)はマツブサ科植物チョウセンゴミシ等の**葉**を基原とし、強壮・滋養の目的で用いられる。正答
- エサンヤク(山薬)はヤマノイモ科植物ヤマノイモ等の根茎を基原とし、滋養強壮・止瀉に用いられる。
- オバクモンドウとテンモンドウはどちらもユリ科に属する植物を基原とし、根の膨大部を薬用部位とする点が共通している。
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正答はウです。
ゴミシ(五味子)の薬用部位は葉ではなく果実です。「五味子」という名は「酸・苦・甘・辛・塩の5つの味がある」ことに由来し、果実を乾燥させて用います。「葉を基原とする」という記述は誤りです。
残りの選択肢は正しい記述です。
暗記ポイントを整理します。
- バクモンドウ → ユリ科・根の膨大部(根に小さな塊が連なる)
- テンモンドウ → ユリ科・根の膨大部
- ゴミシ → マツブサ科・果実(5つの味がある実)
- サンヤク → ヤマノイモ科・根茎(山のいも)
「山薬はヤマノイモの根っこ・ゴミシは5つの味の実」で覚えましょう。
滋養生薬の基原・薬用部位・主作用まとめ:
| 生薬名 | 科名 | 薬用部位 | 主な作用 | 代表配合製品・漢方 |
|---|---|---|---|---|
| バクモンドウ(麦門冬) | ユリ科 | 根の膨大部 | 鎮咳・去痰・滋養・清熱 | 麦門冬湯・滋養強壮ドリンク |
| テンモンドウ(天門冬) | ユリ科 | 根の膨大部 | 滋養強壮・清熱・鎮咳 | 漢方・滋養処方 |
| ゴミシ(五味子) | マツブサ科 | 果実 | 強壮・滋養・鎮咳・止汗 | 生脈散・滋養強壮薬 |
| サンヤク(山薬) | ヤマノイモ科 | 根茎(または塊根) | 滋養強壮・健胃・止瀉 | 八味地黄丸・六味地黄丸 |
各選択肢の解説:
- ア(正): バクモンドウはユリ科植物ジャノヒゲ(リュウノヒゲ)等の根の末端にできる膨大部(紡錘形の塊)を基原とします。多糖類・ステロイドサポニンを含み、鎮咳・去痰・滋養作用を発揮します。麦門冬湯の主薬として「空咳・咽頭乾燥」によく用いられます。
- イ(正): テンモンドウはユリ科植物クサスギカズラ(アスパラガスの近縁種)の根の膨大部を基原とします。バクモンドウと同じユリ科で部位も類似しており、滋養強壮・清熱・鎮咳の用途が重なります。
- ウ(誤・正答): ゴミシ(五味子)の薬用部位は果実(成熟した果実を乾燥させたもの)であり、葉ではありません。マツブサ科植物チョウセンゴミシ等の果実を用います。「五つの味(五味)を持つ実(子)」という名称自体が果実であることを示しています。
- エ(正): サンヤク(山薬)はヤマノイモ科植物ヤマノイモまたはナガイモの根茎(担根体)を基原とし、滋養強壮・健胃・止瀉の多目的な作用を持ちます。六味地黄丸・八味地黄丸に配合される重要生薬です。
- オ(正): バクモンドウ・テンモンドウはどちらもユリ科、どちらも根の膨大部が薬用部位という点で共通しており、この選択肢は正確な記述です。
【ゴミシ(五味子)の多面的薬理と「5つの味」の意義】
ゴミシ(五味子)はマツブサ科植物チョウセンゴミシ(Schisandra chinensis)等の成熟果実を乾燥したものです。「五味子」という名称は、中国伝統医学で「酸・苦・甘・辛・鹹(しおから)の5種の味を同時に含む」と表現されたことに由来します。これは果実成分の多様性を象徴するもので、以下の薬理成分が確認されています。
1. リグナン類(シザンドリン・ゴミシン等)
- ゴミシ果実にはシザンドリン(schizandrin)・ゴミシンA等のジベンゾシクロオクタジエン型リグナン30種以上が含まれます。
- 肝保護作用: リグナン類は肝細胞のGPT/GOT上昇を抑制し、四塩化炭素誘発肝障害モデルで保護効果を示します。薬剤師国家試験での頻出事項です。
- 中枢神経作用: シザンドリンは中枢神経を穏やかに興奮させる方向(アダプトゲン様作用)があり、疲労回復・集中力向上に用いられます。
- 鎮咳作用: 中枢性鎮咳機序(咳嗽反射の抑制)も一部寄与しているとされます。
2. バクモンドウとテンモンドウの類似と差異
バクモンドウとテンモンドウは共にユリ科(現在の分類ではキジカクシ科に再分類されていますが、手引きはユリ科表記)の根の膨大部を基原とします。
| 特徴 | バクモンドウ(麦門冬) | テンモンドウ(天門冬) |
|---|---|---|
| 学名 | Ophiopogon japonicus | Asparagus cochinchinensis |
| 主な多糖類 | オフィオポゴナン(β-1,3-グルカン様) | アスパラガン等 |
| 清熱の強さ | 穏やか(「潤肺」) | やや強い(「清肺」) |
| 代表漢方 | 麦門冬湯・炙甘草湯 | 天王補心丹(成分として) |
バクモンドウは特に乾燥した咳・空咳に優れ、「潤す」「粘膜を保湿する」作用が強調されます。麦門冬湯は「体力中等度以下・気管支炎・咳払いに顔が赤くなる」患者への適応として手引きに記載されています。
3. サンヤク(山薬)の滋養・止瀉の機序
サンヤク(山薬)はヤマノイモ科植物ヤマノイモ(Dioscorea japonica)等の根茎または塊根(ながいも等の食品としても用いられる部位)を基原とします。成分はムチン(糖タンパク)・デンプン(アミロース・アミロペクチン)・サポニン前駆体のジオスゲニン等です。
- 滋養強壮: ムチン・デンプンの栄養補給作用と、消化吸収を助ける酵素活性化作用
- 止瀉: 消化管粘膜への保護・被覆作用(ムチンが腸粘膜を保護し水分吸収を正常化)
- 血糖調節: ジアスターゼ(でんぷん分解酵素)含有により消化を助け、過剰な血糖上昇を緩和するとされます
六味地黄丸・八味地黄丸・牛車腎気丸のいずれにもサンヤクが配合されており、これらを処方全体として学ぶ際に「サンヤクは滋養・止瀉の要」として位置づけると理解が深まります。
4. 登録販売者試験頻出の「部位の落とし穴」まとめ
| 生薬 | 誤りやすい部位 | 正しい部位 |
|---|---|---|
| ゴミシ | 根・葉 | 果実 |
| キキョウ | 茎・花 | 根 |
| セネガ | 茎・葉 | 根 |
| シャゼンソウ | 種子(シャゼンシと混同) | 全草(花穂含む) |
| サンヤク | 葉・花 | 根茎(塊根) |
YMYLの観点から基原の誤りは直接的な誤解を招くため、上記を一覧で覚え、公式手引きの別表と照合する習慣をつけてください。
<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): バクモンドウ・テンモンドウは手引き表記が「ユリ科」で確定(APG分類のキジカクシ科より手引き優先=本事業ルール。advanced内の「現分類ではキジカクシ科だが手引きはユリ科表記」の注記は正確なので維持)。バクモンドウ=ユリ科ジャノヒゲ等の根の膨大部/テンモンドウ=ユリ科クサスギカズラの根の膨大部で確定。ゴミシ=マツブサ科チョウセンゴミシ等の果実(葉ではない)。サンヤク=ヤマノイモ科の根茎で確定。正答ウ(ゴミシ=葉が誤り、正しくは果実)で確定。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章 第8節「滋養強壮保健薬」および第15節「漢方処方製剤・生薬製剤」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。