登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問133:主な医薬品とその作用(生薬製剤・健胃薬)
ウコン、ガジュツ、モッコウの基原および主な作用に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- アウコン(鬱金)はショウガ科植物ウコンの**葉**を基原とし、芳香による健胃作用を持つ。
- イガジュツ(莪朮)はショウガ科植物ガジュツの根茎を基原とし、芳香性健胃・消化促進の目的で用いられる。正答
- ウモッコウ(木香)はキク科植物モッコウの**樹皮**を基原とし、健胃・整腸・鎮痛作用を持つ。
- エウコンとガジュツはどちらもショウガ科に属するが、ウコンは根茎、ガジュツは根の先端部を薬用部位とする。
- オモッコウはウコン・ガジュツと同じショウガ科に属するため、三者はほぼ同じ適応症に用いられる。
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正答はイです。
ガジュツ(莪朮)はショウガ科植物ガジュツの根茎を基原とし、芳香性健胃・消化促進に用いられます。記述イはこれを正確に示しています。
各誤り選択肢のポイントです。
- ア→ウコンの薬用部位は「葉」ではなく根茎
- ウ→モッコウの薬用部位は「樹皮」ではなく根。科名はキク科(正しい)だが部位が誤り
- エ→ウコンもガジュツもどちらも根茎。「ガジュツは根の先端部」は誤り
- オ→モッコウはキク科・ウコン/ガジュツはショウガ科。科が異なる
語呂:「ウコン・ガジュツはショウガ科の根茎・黄色い粉(ターメリック)」「モッコウはキク科の根で木の香り」で押さえましょう。
健胃・芳香生薬の基原・薬用部位・作用まとめ:
| 生薬名 | 科名 | 薬用部位 | 主な作用 | 主成分 |
|---|---|---|---|---|
| ウコン(鬱金) | ショウガ科 | 根茎 | 芳香性健胃・利胆・消炎 | クルクミン・揮発油 |
| ガジュツ(莪朮) | ショウガ科 | 根茎 | 芳香性健胃・消化促進 | 揮発油(ガジュツール等) |
| モッコウ(木香) | キク科 | 根 | 健胃・整腸・鎮痛・理気 | コステノリド等のセスキテルペン |
各選択肢の解説:
- ア(誤): ウコン(鬱金)の薬用部位は根茎です。葉ではありません。ショウガ科植物ウコン(Curcuma longa)の根茎に黄色色素クルクミンが豊富に含まれており、これが市販のターメリック(うこんパウダー)の主成分でもあります。健胃・利胆作用を持ち、胃腸薬やサプリメントに配合されます。
- イ(正): ガジュツ(莪朮)はショウガ科植物ガジュツ(Curcuma zedoaria)の根茎を基原とします。揮発油(ガジュツール・クルゼレノン等)が芳香を放ち、胃液分泌促進・消化管蠕動の調整による芳香性健胃・消化促進作用を示します。
- ウ(誤): モッコウ(木香)の薬用部位は根です。樹皮ではありません。キク科植物モッコウ(Saussurea lappa)の根にセスキテルペン(コステノリド・デヒドロコスタスラクトン等)が含まれ、健胃・整腸・鎮痛・理気(気のうっ滞を流す)の目的で用いられます。
- エ(誤): ウコンもガジュツもどちらもショウガ科・根茎が薬用部位です。「ガジュツは根の先端部」という表現は誤りです。
- オ(誤): モッコウはキク科、ウコンとガジュツはショウガ科であり、科が異なります。「同じショウガ科」という記述は誤りです。また、モッコウは理気鎮痛(胃腸の気の流れを改善する)に特化しており、ウコン(利胆・消炎)・ガジュツ(消化促進)とは異なる強みを持ちます。
【クルクミンの薬理と「ウコンドリンク」の実態】
1. ウコン(鬱金)のクルクミン薬理
ウコン根茎の黄色色素クルクミン(curcumin)は、ジフェルロイルメタン骨格を持つポリフェノール類です。以下の多面的な薬理が報告されています。
- 利胆作用(胆汁分泌促進): クルクミンは胆汁酸の腸肝循環を促進し、胆汁分泌量を増加させます。この作用が食後の消化不良・脂肪消化の改善につながります。
- 抗酸化・抗炎症: NFκB(核内因子κB)シグナルを抑制することで炎症性サイトカイン(TNF-α・IL-1β・IL-6)の産生を抑制します。
- 肝保護: 四塩化炭素誘発肝障害モデルでGOT/GPT上昇の抑制が示されており、「ウコンは二日酔いに効く」という市場認識の根拠の一つとなっています。ただし、高品質な臨床エビデンスは限定的です。
注意(登録販売者として重要): ウコンを大量摂取すると肝毒性が報告されています。特にサプリメントとして高濃度クルクミンを長期摂取すると薬物性肝障害のリスクがあります。「ウコンは安全なサプリ」という誤認を顧客が持っている場合、適切な摂取量の確認と、既往の肝疾患がある場合は使用前に医師相談を促すことが登録販売者の役割です。
2. ガジュツの揮発油と健胃機序
ガジュツ(Curcuma zedoaria)の根茎揮発油にはガジュツール(zedoarol)・クルゼレノン・アー-クルクメン等のセスキテルペン類が含まれます。
- 芳香健胃機序: 揮発油が鼻腔・口腔粘膜の受容体を刺激し、反射的に唾液・胃液の分泌を促進します(ウコンと同様の芳香健胃の機序)。
- ウコンとガジュツはともにショウガ科・根茎という共通性がありながら、ウコンは「利胆・消炎」、ガジュツは「消化促進・芳香」に強みがある点で配合目的が異なります。
3. モッコウのセスキテルペンと理気作用
モッコウ(Saussurea lappa)はインド・パキスタン原産のキク科多年草で、根にコステノリド(costunolide)・デヒドロコスタスラクトン等のセスキテルペンラクトン類が含まれます。
- 理気作用(気の流れを改善): 漢方理論では「気の停滞(気滞)」が胃腸の痛み・膨満感・便秘の原因とされます。モッコウの揮発油成分が消化管平滑筋の蠕動を適度に調整し、気の停滞を解消します。
- 鎮痛: セスキテルペンラクトン類がプロスタグランジン合成を抑制する方向の作用を示します。
配合される漢方処方の例として木香順気散・木香槟榔丸があり、消化器の気滞(腹部膨満・便秘・腸鳴)を治療する処方の主薬として用いられます。
4. 「健胃薬」の3つの区分と生薬の対応
登録販売者試験では健胃薬を以下3類型に整理すると理解が深まります。
| 区分 | 代表成分 | 機序 |
|---|---|---|
| 苦味健胃 | オウレン・オウバク・センブリ | 苦味→迷走神経→胃液分泌反射 |
| 芳香健胃 | ウコン・ガジュツ・モッコウ・ウイキョウ・ケイヒ | 香り→嗅覚・口腔刺激→胃液分泌促進 |
| 制酸健胃 | 炭酸水素ナトリウム・炭酸マグネシウム等 | 胃酸中和 |
本問のウコン・ガジュツ・モッコウは全て芳香健胃薬に分類されます。芳香健胃薬もオブラートに包まずに服用する方が効果的(オブラートが芳香を遮断するため)という指導の観点を、苦味健胃薬と合わせて覚えておくと実務で役立ちます。
<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): モッコウ=キク科(Saussurea lappa)の根で確定(日本薬学会・薬用植物DB)。ウコン=ショウガ科ウコンの根茎、ガジュツ=ショウガ科ガジュツの根茎で確定(手引き表記)。ウコンの薬用部位は「葉」ではなく「根茎」で正しい。モッコウとウコン/ガジュツは科が異なる(キク科 vs ショウガ科)。正答イ(ガジュツ=ショウガ科・根茎)で確定。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章 第8節「胃の薬(健胃薬・制酸薬・消化薬)」および第15節「漢方処方製剤・生薬製剤」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。