登録販売者 第4章 薬事関係法規・制度 問43:薬事関係法規・制度(課徴金制度)
医薬品の虚偽・誇大広告に対する課徴金制度に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア課徴金制度の対象となる広告は、テレビ・ラジオ等のマスメディア広告に限られており、インターネット上の広告は対象外とされている。
- イ課徴金額は、違反広告を行った期間中の対象商品の売上高の一定割合(4.5%)に相当する額として算定される。正答
- ウ課徴金は、刑事罰(懲役・罰金)の代替措置として設けられたものであり、課徴金が課された場合には刑事罰は科されない。
- エ課徴金は、行為者に故意(虚偽・誇大であることの認識)がなければ課されることはなく、過失にとどまる場合は課徴金納付命令の対象から一律に除外される。
- オ課徴金の納付義務が確定した場合、製造販売業者は課徴金を都道府県に納付し、都道府県はそれを国庫に返納する。
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正答はイ(正しいもの)です。
課徴金の算定方法は、違反広告を行った期間中の対象商品の売上高の4.5%相当額が基本となります。この「4.5%」という数値は課徴金算定の重要なキーワードです。
アは誤りで、インターネット広告も課徴金の対象となります。ウは誤りで、課徴金は刑事罰の代替ではなく、刑事罰や行政処分とは別個の行政上の金銭的措置です。エは誤りで、課徴金は「課徴金対象行為をした者」に課されるもので、故意・過失は要件とされていません(無過失でも課されます)。オは誤りで、課徴金は都道府県ではなく国(厚生労働大臣の納付命令により国庫へ納付)に納付されます。
課徴金制度の主要事項:
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象行為 | 虚偽・誇大広告を行った製造販売業者(薬機法上の誇大広告等に係る違反) |
| 算定基準 | 違反広告期間中の当該医薬品等の売上高の4.5% |
| 対象媒体 | テレビ・ラジオ・新聞・インターネット等すべての媒体 |
| 故意・過失 | 要件とされない(無過失でも課徴金対象行為をした者に課される) |
| 最低額 | 課徴金額が225万円未満(対象品目の売上が約5,000万円未満)のときは納付命令を行わない |
| 刑事罰・行政処分との関係 | 課徴金は別個の金銭的措置。措置命令(保健衛生上の危害が軽微な場合)や許可取消し等の処分をする場合は課徴金納付命令をしないことができる |
| 納付先 | 国(厚生労働大臣の納付命令により国庫へ納付) |
各選択肢の解説:
- ア(誤): 課徴金の対象となる広告はマスメディアに限られません。インターネット・SNS・ウェブサイト等の広告も対象となります。
- イ(正): 課徴金の算定基準として「売上高の4.5%」が正しい数値です。この割合は重要な暗記事項です。
- ウ(誤): 課徴金は行政上の金銭的措置であり、刑事罰とは別個の手続きで科されます。課徴金が課された場合でも刑事罰(懲役・罰金)が別途科される可能性があり、「刑事罰の代替で刑事罰は科されない」という記述は誤りです。
- エ(誤): 課徴金は「課徴金対象行為をした者」に課されるもので、故意・過失は要件とされていません(無過失でも課されます)。したがって「故意がなければ課されない」「過失なら一律に対象外」とするエの記述は誤りです。<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): 薬機法第75条の5の2の課徴金は故意・過失を要件としない(無過失でも課される)。よって選択肢エを「故意がなければ課されない」という誤りの記述に改め、正答イ(4.5%)との二重正答を解消。e-Gov・厚労省「課徴金制度の導入について」で突合 -->
- オ(誤): 課徴金は都道府県を経由せず、国に納付する仕組みです(厚生労働大臣による課徴金納付命令→国庫への納付)。
【課徴金制度の制度趣旨と導入背景】
課徴金制度は、2019年(令和元年)の薬機法改正により導入され、2021年(令和3年)8月1日から施行されています。導入の背景には、医薬品等の虚偽・誇大広告に対する従来の規制手段(刑事罰のみ)では抑止効果が不十分という問題意識がありました。
従来の問題点:
- 刑事罰は立証が難しく、訴追に至るケースが限られていた
- 違反による利益(売上増加)が罰金額を大幅に上回る場合、刑事罰だけでは不正を行う経済的動機を打ち消せなかった
- 消費者への不当な影響(効果を誤信した購入者の増加)に対する経済的な賠償的機能が弱かった
課徴金制度の仕組み:
課徴金は、違反行為から得た不当な経済的利益(超過利益)を没収し、再犯を防止するための行政上の制裁です。
算定方法の詳細:
- 基準: 違反広告を行っていた期間(違反行為期間)における当該医薬品の売上高の4.5%
- 割合の意味: 4.5%という数値は、広告の効果により生じた超過売上からの利益率を推計したものとされています(他の分野(独占禁止法等)の課徴金算定率を参考に設定)
- 最低額(裾切り): 計算した課徴金額が225万円未満(対象品目の売上が約5,000万円未満に相当)のときは、課徴金納付命令を行わないこととされています。少額の違反に対して過大な事務コストがかからないよう設計されたものです。<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): 課徴金額225万円未満(売上約5,000万円未満)は納付命令を行わない。厚労省「課徴金制度の導入について」で突合 -->
課徴金と刑事罰の「二本立て」制裁体系:
日本の薬機法の制裁体系は以下の二本立てです:
1. 刑事罰: 誇大広告等(法第66条第1項違反)の違反行為に対する刑事訴追。2年以下の懲役(拘禁刑)もしくは200万円以下の罰金、またはこれを併科(薬機法第85条)。<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): 誇大広告(法第66条)違反の刑事罰は第85条で2年以下の懲役・200万円以下の罰金・併科。e-Gov(薬機法)で突合 -->
2. 課徴金: 違反期間中の対象商品の売上の4.5%相当額を国庫に納付させる行政上の金銭的措置。刑事罰とは別手続きで行政(厚生労働大臣)が課す。
この体系は、独占禁止法等の課徴金制度の設計を参考にしています。なお薬機法では、措置命令(保健衛生上の危害が軽微な場合に限る)や許可取消し等の行政処分をする場合には、厚生労働大臣は課徴金納付命令をしないことができるとされています。また、違反者が課徴金対象行為に該当する事実を事案発覚前に自主的に報告したときは、課徴金額が50%減額されます。<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): 薬機法の課徴金は措置命令・許可取消等の処分時に「納付命令をしないことができる」調整あり(罰金額を機械的に控除する規定ではない)。自主報告で50%減額。厚労省資料・薬事法ドットコム条文解説で突合 -->
誇大広告の3要件(既存問題の前提確認):
薬機法の広告規制との関係:
- 虚偽・誇大広告の禁止(法第66条第1項):医薬品等の名称・製造方法・効能効果・性能に関して、明示的・暗示的を問わず虚偽または誇大な記事を広告し、記述し、または流布してはならない。
- あわせて、医師等がその効能効果等を保証したと誤解させるおそれのある記事の広告等の禁止(同条第2項)、承認前の医薬品等の広告の禁止(法第68条)も規定されています。
- 課徴金制度は、このうち虚偽・誇大広告(法第66条第1項)に係る違反が行われた場合の金銭的措置として機能します。<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): 旧記述の「3要件」「公告または医師等の書状等の利用」は不正確。法第66条第1項(虚偽誇大広告)・第2項(医師等の保証表示の誤認防止)・第68条(承認前広告禁止)に整理し、課徴金対象は第66条第1項違反であることを明確化。e-Govで突合 -->
対象媒体の広さ(全媒体が対象):
現代の広告規制では、特定の媒体を免除する規定は設けられていません。以下すべてが課徴金の対象となりえます:
- テレビ・ラジオのコマーシャル
- 新聞・雑誌の紙面広告
- インターネットバナー広告・動画広告
- SNS(企業アカウントの投稿等)
- 自社ウェブサイト(商品ページの効能効果の誇大記載等)
登録販売者として知っておくべき点:
課徴金制度は製造販売業者を対象とするものですが、登録販売者として:
1. 商品の効能・効果について事実に基づかない誇張した説明を行うことは広告規制に抵触するリスクがあります
2. 製造販売業者の課徴金命令は医薬品の信頼性に関わる情報であるため、取り扱い商品の広告問題を把握しておくことが望ましいです
3. 虚偽・誇大な宣伝材料(POP・ちらし等)を用いた販売には加担しないことが重要です
【根拠】薬機法(課徴金制度・誇大広告等に関する規定)、厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第4章 第3節
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第4章 第3節「医薬品の適正販売のための規制等」(課徴金制度) 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。