登録販売者 第5章 医薬品の適正使用・安全対策 問22:医薬品の適正使用・安全対策(副作用被害救済制度の対象除外)
医薬品副作用被害救済制度における給付の対象除外に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア添付文書に記載された用量を超えて医薬品を服用し、その結果として副作用が生じた場合でも、医薬品の成分自体に欠陥がなければ救済給付の対象となる。
- イ承認を受けていない無承認医薬品(いわゆる健康食品として販売されていた医薬品的効能効果を標榜する製品)を摂取して健康被害が生じた場合は、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる。正答
- ウ医師が処方した医療用医薬品による副作用被害は、医師の処方ミス(用量誤り等)が原因であっても医薬品副作用被害救済制度の救済対象となる。
- エ要指導医薬品・第1類医薬品は医療用に近い強い効果を持つためすべて救済給付の対象外とされており、第2類・第3類医薬品のみが救済対象の一般用医薬品に含まれる。
- オ副作用が生じた原因として製造業者の製造上の欠陥(PL法上の製造物責任が問える欠陥)が明らかな場合も、医薬品副作用被害救済制度の適用対象となる。
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正答はイです。
無承認無許可医薬品(薬機法上の承認を受けていない製品)による健康被害は、医薬品副作用被害救済制度の救済対象外です。救済制度は「適正に使用された承認済み医薬品」による副作用被害の救済を目的としているためです。
アは誤りで、添付文書に記載された用法・用量を著しく超えて使用する等の「適正に使用していない」場合の副作用は救済対象外となります。ウは誤りで、医師の処方ミス等の医療機関の過誤による場合は救済対象外となります。エは誤りで、要指導医薬品・第1類医薬品は救済対象から一律に除外されているわけではありません。対象とならないのは、抗がん剤等(がん等の特殊疾病に使用される厚生労働大臣指定の医薬品)や、殺虫剤・殺鼠剤・殺菌消毒剤(いずれも人体に直接使用しないもの)・体外診断用医薬品等の「対象除外医薬品」であって、リスク区分(第1類〜第3類)によって決まるものではありません。オは誤りで、製造上の欠陥(PL法上の製造物責任)がある場合は救済制度ではなくPL法による賠償責任が問われます。
医薬品副作用被害救済制度の対象外事由の主な区分:
| 対象外の類型 | 具体例 | 理由 |
|---|---|---|
| 不適正使用 | 用法・用量を著しく超える使用・用法違反・禁忌成分の使用 | 適正使用が救済の前提 |
| 無承認無許可医薬品 | 未承認の医薬品・健康食品として販売された医薬品的効能標榜製品 | 制度は承認済み医薬品のみ対象 |
| 製造物責任が問える欠陥製品 | 製造上の欠陥(PL法上の責任が製造業者にある場合) | PL法による損害賠償が別途適用 |
| 医療機関の過誤 | 医師の処方ミス・薬剤師の調剤ミス等 | 医療過誤として別の法的責任 |
| 対象除外医薬品 | ①抗がん剤等(がん等の特殊疾病に使用される厚生労働大臣指定の医薬品・免疫抑制剤等)、②殺虫剤・殺鼠剤・殺菌消毒剤(人体に直接使用しないもの)、③体外診断用医薬品、④動物用医薬品、⑤賦形剤等 | ①は重い副作用があっても使用が必要で受忍が適当、②〜⑤は人体に直接使用しない等で副作用被害の可能性がないため |
<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): 対象除外を「一部の要指導・一般用」という曖昧な記述から、PMDA/厚労省告示(平成16年厚労省告示第185号)に基づく具体的な対象除外医薬品(抗がん剤等の指定医薬品、人体に直接使用しない殺虫剤・殺鼠剤・殺菌消毒剤、体外診断用医薬品等)に修正。リスク区分(第1類等)による除外ではない点を明確化。 -->
各選択肢の解説:
- ア(誤): 添付文書に記載された用法・用量を著しく超える等の「適正に使用していない」場合の副作用は、原則として救済対象外です。適正使用を前提とした救済制度の根幹に関わる除外事由です。
- イ(正): 無承認無許可医薬品(薬機法上の承認を受けていない製品)による健康被害は、救済対象外です。「医薬品」の定義は承認を受けた製品に限られるためです。
- ウ(誤): 医師の処方ミス等の医療機関の過誤による場合は「医療過誤」として、医師・医療機関に対する損害賠償責任の問題となります。医薬品副作用被害救済制度の対象外です。
- エ(誤): 要指導医薬品・第1類医薬品はリスク区分を理由に一律に救済対象外とされているわけではありません。救済の対象とならないのは、抗がん剤等(がん等の特殊疾病用の厚生労働大臣指定の医薬品)や、人体に直接使用しない殺虫剤・殺鼠剤・殺菌消毒剤、体外診断用医薬品等の「対象除外医薬品」であり、第1類・第2類・第3類というリスク区分によって決まるものではありません。
- オ(誤): 製造上の欠陥(PL法:製造物責任法上の欠陥)が明らかな場合は、PL法に基づく製造業者への損害賠償請求が適切な救済ルートです。救済制度は「欠陥のない医薬品の適正使用による副作用」を対象とします。
【救済対象除外の法理・PL法との関係・不適正使用の判断基準を深掘りする】
1. 救済制度が「無過失補償」として機能する理由と対象外事由の意義
医薬品副作用被害救済制度は「無過失補償制度」として設計されています。つまり、製造販売業者・医師・薬剤師・登録販売者等の誰にも過失がなくとも、適正に使用した医薬品で副作用被害を受けた場合に補償を行います。
「無過失補償」を成立させるための前提条件(これが崩れると補償の正当性が失われる):
- 医薬品が国の承認を受けている(品質・有効性・安全性が審査済み)
- 適正に使用された(添付文書・医師の指示に従って使用)
これらの前提が崩れる場合(無承認・不適正使用・製造欠陥・医療過誤)は、別の法的救済ルートが適切であり、救済制度の対象外となります。
2. 不適正使用の判断基準と「著しい」不適正使用の問題
「不適正使用」による対象除外については、軽微な逸脱(例:食後服用指示に対して食前に服用等)まで全て除外されるのか、という解釈問題があります。
救済制度では、医薬品が「適正に使用された」ことが給付の前提とされており、添付文書に記載された用法・用量を著しく超える使用や、禁忌を無視した使用等の「適正に使用していない」場合の副作用は対象外と整理されています。用量の大幅な超過(例:成人用量の数倍)・禁忌成分を明記された危険な使い方(例:妊婦への禁忌薬の服用)は明確に対象外です。いずれにせよ、添付文書に従った適正使用が救済の原則です。<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): 「適正な使用」が給付の前提であり、適正に使用していない場合は対象外という制度の原則に沿って記述を確定。 -->
3. 製造物責任法(PL法)と救済制度の関係
PL法(製造物責任法:1994年制定・1995年施行)は、製品の「欠陥」により消費者が被害を受けた場合に、製造業者が損害賠償責任を負うことを規定します。
医薬品の文脈での「欠陥」の概念:
- 製造上の欠陥: 製造過程での異物混入・品質管理の失敗等による個別製品の問題
- 設計上の欠陥: 医薬品の設計(成分・配合)自体に問題がある場合(ただし「承認を受けた設計」の副作用はPL欠陥に当たらないとも解される)
- 指示・警告上の欠陥: 添付文書の警告が不十分で被害を防げなかった場合
医薬品副作用被害救済制度の対象外(PL法が適切)なケース:
- 明らかな製造上の欠陥(異物混入・規格外製品)による被害
→この場合は製造業者のPL責任を問う損害賠償訴訟・企業への賠償請求
救済制度とPL法の棲み分け:「欠陥のない承認済み医薬品の正しい使用→予測できなかった副作用」が救済制度。「製品の欠陥による被害」がPL法の領域です。
4. 医療過誤との区別
医療現場での薬剤に関連した事故には:
- 医師の処方ミス(用量誤り・禁忌への処方等)
- 薬剤師の調剤ミス(誤薬・用量計算ミス等)
- 医薬品副作用(適切な処方・調剤にもかかわらず副作用が生じた)
のケースがあります。
「医療過誤」の場合は、医師・薬剤師・医療機関に対する不法行為・債務不履行に基づく損害賠償請求(民事訴訟)が適切な救済ルートです。医薬品副作用被害救済制度は「医療行為に過失がない前提での副作用被害」を対象とするものです。
5. 無承認無許可医薬品の問題と消費者への啓発
「健康食品として販売されているが、実質的に医薬品的効能を標榜している製品」は市場に多数存在します。これらは:
- 薬機法上の承認を受けていない(未承認医薬品)
- 成分・製造方法の安全性審査がない
- 副作用が生じても救済制度の対象外
登録販売者は消費者に対して「インターネット・SNSで販売される未承認製品には救済制度が適用されません」という正確な情報提供を行うことで、消費者の不利益を防ぐ重要な役割を担います。
「救済制度の対象になる医薬品」は薬機法上の承認を受けた製品であることを確認することが、顧客保護の観点から不可欠です。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第5章 第3節「医薬品の副作用等による健康被害の救済」(救済給付の対象外事由関連記述) 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。