第5章 医薬品の適正使用・安全対策48医薬品の適正使用・安全対策(添付文書「してはいけないこと」散瞳・視力障害×運転回避)

登録販売者 第5章 医薬品の適正使用・安全対策 問48:医薬品の適正使用・安全対策(添付文書「してはいけないこと」散瞳・視力障害×運転回避)

一般用医薬品の添付文書に「服用後、乗物または機械類の運転操作をしないこと」が記載される理由として、散瞳・視力障害との関係に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • ロートエキス(ベラドンナ総アルカロイド)は抗コリン作用により瞳孔括約筋を弛緩させて散瞳を生じ、光が過剰に入って眩しさや焦点調節の困難が生じるため、「運転操作をしないこと」の記載対象となっている。
  • ロートエキスは抗コリン作用により散瞳・視調節障害を生じるため、これらの視覚への影響が「運転操作をしないこと」が記載される理由の一つとなっている。
  • スコポラミン臭化水素酸塩水和物は抗コリン作用(散瞳・眠気・口渇等)を持ち、散瞳による視力変化と中枢神経抑制による眠気の両方の観点から「運転操作をしないこと」の対象となっている。
  • 閉塞隅角緑内障の患者は、抗コリン成分による散瞳で眼房水排出路が塞がれて眼圧が上昇するリスクがあり、「してはいけないこと(緑内障の人は使用しないこと)」と記載される場合がある。
  • 抗ヒスタミン成分(ジフェンヒドラミン等)の「運転操作をしないこと」は散瞳による視力変化が主な理由であり、眠気が主な理由ではない。正答
正答:抗ヒスタミン成分(ジフェンヒドラミン等)の「運転操作をしないこと」は散瞳による視力変化が主な理由であり、眠気が主な理由ではない。

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正答はオ(誤っているもの)です。

抗ヒスタミン成分(ジフェンヒドラミン等)の「運転操作をしないこと」は、散瞳ではなく眠気・反応速度低下が主な理由です。眠気は中枢ヒスタミンH1受容体の遮断によって生じます。一方、散瞳は抗コリン作用を持つ成分(ロートエキス・スコポラミン等)の運転リスクとなります(オが誤り)。

各選択肢の正誤:

  • ア(正): ロートエキスは散瞳・焦点調節困難を引き起こし、視覚に影響するため運転操作回避の対象です。
  • イ(正): ロートエキスは散瞳・視調節障害(焦点が合いにくくなる)を生じるため、これらの視覚への影響が運転回避が記載される理由の一つとなります。
  • ウ(正): スコポラミンは散瞳・中枢抑制の両方から運転への影響があります。
  • エ(正): 抗コリン成分による閉塞隅角緑内障のリスクは「してはいけないこと」の根拠となります。
  • オ(誤): 抗ヒスタミン成分の主な運転禁止理由は散瞳ではなく眠気です。
標準試験対策の基準レベル

散瞳を引き起こす成分と眠気を引き起こす成分の区別:

| 成分 | 主な運転リスク | 機序 |

|---|---|---|

| ロートエキス(ベラドンナ総アルカロイド) | 散瞳→羞明・焦点調節障害 | 瞳孔括約筋のM3受容体遮断→弛緩→散瞳 |

| スコポラミン臭化水素酸塩 | 散瞳+眠気(両方) | 中枢M受容体遮断(眠気)+末梢散瞳 |

| ジフェンヒドラミン塩酸塩 | 眠気(散瞳は主因でない) | 中枢H1受容体遮断→覚醒機能低下 |

| コデインリン酸塩 | 眠気 | オピオイドμ受容体→中枢抑制 |

| ブロムワレリル尿素 | 眠気 | GABAa受容体→中枢抑制 |

散瞳が視覚に及ぼす影響(抗コリン成分に特有):

  • 瞳孔括約筋が弛緩→瞳孔が散大したまま
  • 強い光が過剰に入る→羞明(まぶしくて見えない)
  • 毛様体筋も弛緩→水晶体の焦点調節困難→近くのものがぼやける
  • 暗い場所から明るい場所への適応が遅れる

各選択肢の解説:

  • ア(正): ロートエキス(ベラドンナ総アルカロイドとしてアトロピン・スコポラミン等を含む)は抗コリン作用により瞳孔括約筋が弛緩→散瞳が生じます。散瞳によって光量の調節が困難になり(眩しさ・視力低下)、運転に必要な視覚機能が障害されます。このため「服用後、乗物または機械類の運転操作をしないこと」の対象となっています。
  • イ(正): ロートエキスは抗コリン作用により瞳孔括約筋を弛緩させて散瞳を生じるとともに、毛様体筋の弛緩で視調節障害(焦点が合いにくくなる)を来します。これら散瞳・視調節障害という視覚への影響が「運転操作をしないこと」が記載される理由の一つとなります(公式の添付文書記載要領でもロートエキスは「視調節障害・散瞳・羞明」を理由に運転回避の対象とされています)。
  • ウ(正): スコポラミン臭化水素酸塩は抗コリン作用(散瞳・焦点調節困難)と中枢神経抑制作用(眠気・鎮静)の両方を持ちます。乗物酔い止め薬に配合されますが、「乗物を運転する側」は服用後に運転してはなりません(乗客として乗るのは別)。
  • エ(正): 抗コリン成分による散瞳は閉塞隅角緑内障の患者において房水の排出路を閉塞して眼圧を急上昇させるリスクがあります。このため抗コリン成分を含む製品の「してはいけないこと」には「緑内障の診断を受けた人は使用しないこと」が記載されます。これは散瞳と緑内障の関係から論理的に導かれます。
  • オ(誤): 抗ヒスタミン成分(ジフェンヒドラミン等)の「運転操作をしないこと」の主な理由は、眠気・反応速度低下・集中力低下です。第一世代抗ヒスタミン成分は脂溶性が高く血液脳関門を通過しやすいため、中枢ヒスタミンH1受容体を遮断して覚醒機能を低下させます。散瞳はロートエキス等の抗コリン成分に特有のリスクであり、抗ヒスタミン成分の主な運転リスクではありません。
上級誤答論破・根拠(手引き)まで深掘り

【抗コリン成分による散瞳の眼科学的機序・緑内障との関係・登録販売者の実務対応の深掘り】

散瞳(mydriasis)の眼科学的機序:

正常な瞳孔調節は自律神経の二重支配で行われます:

| 神経 | 支配部位 | 効果 |

|---|---|---|

| 副交感神経(動眼神経) | 瞳孔括約筋(M3受容体) | 収縮→縮瞳 |

| 交感神経(眼神経叢) | 瞳孔散大筋(α1受容体) | 収縮→散瞳 |

抗コリン成分(ロートエキス・スコポラミン等)は瞳孔括約筋のM3受容体を遮断することで、括約筋が弛緩し散瞳が生じます。

散瞳の視覚への影響:

1. 光量制御不能:瞳孔が開き過ぎ→強い光源(太陽・ヘッドライト)で羞明(まぶしくて視覚が奪われる)

2. 焦点調節障害:毛様体筋のM3受容体も遮断→毛様体が弛緩→水晶体が薄くなる→近くのものに焦点が合わない(老視様の状態)

3. 暗所→明所の適応遅れ:通常は明所に出ると縮瞳するが、抗コリン薬で縮瞳が障害→眩しさが継続

抗コリン成分と閉塞隅角緑内障の禁忌機序:

閉塞隅角緑内障(acute angle-closure glaucoma)の病態:

  • 前房角(虹彩と角膜の境界部)が狭い人では散瞳が起こると…
  • 虹彩(アイリス)が外縁に押し広がる→虹彩根部が前房角をふさぐ→房水が流出できない
  • 眼圧急上昇→視神経への圧迫→激しい頭痛・吐きけ・急激な視力低下

抗コリン成分が「してはいけないこと(緑内障の診断を受けた人)」の理由:

  • 散瞳が閉塞隅角緑内障の急性発作を誘発するリスク
  • 緑内障患者は前房角が狭い人が多く(特に閉塞隅角型)、散瞳で急激な眼圧上昇が起こりやすい

注意:開放隅角緑内障は散瞳の影響を受けにくいですが、一般用医薬品の添付文書では緑内障の型を区別せず「緑内障の診断を受けた人は使用しないこと(または相談すること)」と記載されます。

「抗ヒスタミン成分の眠気」vs「抗コリン成分の散瞳」の区別の実務的意義:

登録販売者が購入者への情報提供で注意すべき分岐:

ケース1:「鎮暈薬(乗物酔い防止)を飲んで旅行先で車を運転したいが問題ないか」

  • 成分にスコポラミンまたはロートエキス→散瞳のリスクで「運転不可」
  • 成分にジフェンヒドラミン→眠気のリスクで「運転不可」
  • 第二世代抗ヒスタミン成分主体の製品→眠気が少ない→「運転への影響は相対的に少ないが、念のため製品の添付文書を確認してください」

ケース2:「目薬(点眼薬)で散瞳になったが運転できるか」

  • 抗コリン成分の点眼(散瞳薬・緑内障診断用)→散瞳が続く間は運転不可(眼科での指示に従う)
  • 一般用点眼薬(抗菌・充血除去)→通常散瞳薬は含まれない

ケース3:「緑内障と言われているが乗物酔い止めを使いたい」

  • 抗コリン成分含有製品→散瞳による眼圧上昇リスクから禁忌に準じる→医師への相談を強く勧める
  • 第二世代抗ヒスタミン成分主体で抗コリン作用が弱い製品→医師に相談のうえ判断

散瞳と眼圧の関係を購入者に説明する言葉の例:

「この薬には瞳孔を広げる(散瞳)作用があります。運転中に明るい光が入りすぎて眩しくなったり、近くのものが見えにくくなることがあります。また、緑内障をお持ちの方は目の圧力が急に上がることがありますので、緑内障の診断を受けたことがある方には使用できません。」

薬剤師・医師との連携が必要なケース:

「運転操作をしないこと」の対象成分を常用しなければならない基礎疾患(アレルギー性鼻炎で抗ヒスタミン成分を継続服用する患者等)は、職業ドライバーや運転が不可欠な生活状況の場合に深刻な問題になります。このような場合、登録販売者の役割は「医師・薬剤師への相談を促す」ことです。職業ドライバーへは第二世代抗ヒスタミン成分の選択や眠気の少ない代替療法を医師・薬剤師が判断します。

コデイン類の12歳未満禁忌(関連事項):

コデインリン酸塩・ジヒドロコデインリン酸塩の「12歳未満の小児には使用しないこと(してはいけないこと)」は、2019年(令和元年)7月の添付文書改訂指示(経過措置を経て「使用制限」から「禁忌」へ)に基づくもので、令和8年4月版の手引きの別表にも明記されています。CYP2D6超高速代謝者で呼吸抑制リスクが高いことが根拠です。「運転操作をしないこと」別表とコデイン類の年齢制限は複合問題として出題される可能性があります。

<!-- 品質ゲート是正: wave2 ch5_10(「してはいけないこと」運転回避・授乳回避成分の複合)との重複を解消するため、論点を「散瞳・視力障害を引き起こす成分と運転操作回避・抗コリン成分の眼への影響」に特化。wave2は運転回避と授乳回避の複合を問うが、wave4は「散瞳のメカニズムと抗ヒスタミン成分との区別」に絞った。事実の新規追加なし・確立した眼科薬理をフレームとして活用。 -->

<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser・品質ゲート編集分の再検証): (1)正答欄の二重記載「オ/ア」を「オ」に一意化(品質ゲートの消し残し)。(2)選択肢イが「鎮暈薬は眠気を引き起こさない/眠気を理由とした記載はない」と断定し正答オと二重正答になるリスクがあったため、「ロートエキスの散瞳・視調節障害が運転回避理由の一つ」という確実に正の記述へ修正し、beginner/standard解説も整合。(3)抗ヒスタミン=眠気主因/ロートエキス・スコポラミン=散瞳(抗コリン)の対応は公式添付文書記載要領と一致(ロートエキス「視調節障害・散瞳・羞明」で運転回避)→正答オ妥当。(4)根拠行の後ろに浮いていた「4.」「5.」ブロックをadvanced本文末尾へ移し、品質ゲートコメント+根拠を末尾に整列(段差性b<s<a・format維持)。 -->

【根拠】厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第5章 「してはいけないこと」(乗物機械運転回避・散瞳成分)

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第5章 第1節「添付文書等への記載事項」(使用上の注意「してはいけないこと」乗物運転・機械操作別表) 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

関連論点

「してはいけないこと」散瞳・視力障害を引き起こす成分と運転操作回避・抗コリン作用の目への影響頻出度A

第5章 医薬品の適正使用・安全対策の他の問題

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章別に解いて、登録販売者に合格

全5章のオリジナル問題。各問に出典(厚労省手引き)とAI解説(3レベル)付き・閲覧無料。