衛生管理者 関係法令(有害業務以外) 問28:安全衛生管理体制
衛生管理者の職務および資格要件に関する次の記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア衛生管理者は、少なくとも毎週1回作業場等を巡視し、設備、作業方法または衛生状態に有害のおそれがあるときは、直ちに、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならない。
- イ金融業の事業場において常時1,000人の労働者を使用する場合、第二種衛生管理者の免許を有する者を衛生管理者として選任することができる。
- ウ農林業の事業場においては、第二種衛生管理者の免許を有する者を衛生管理者として選任することができる。正答
- エ衛生管理者は、その事業場の規模が一定規模以上になる場合に、他の業務と兼任することなく衛生管理者の職務に専念しなければならない専任者となる義務が生じる。
- オ医師または歯科医師は、業種を問わずどの事業場でも衛生管理者として選任することができる。
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誤りはウです。農林業(農林畜水産業)は、安衛則第7条第1項第3号イにより第一種衛生管理者免許または衛生工学衛生管理者免許を有する者でなければ衛生管理者として選任できない業種に含まれます。したがって「第二種衛生管理者の免許で選任できる」とするウは誤りです。
第一種が必要な業種は「農林畜水産業・鉱業・建設業・製造業(物の加工業を含む)・電気業・ガス業・水道業・熱供給業・運送業・自動車整備業・機械修理業・医療業・清掃業」であり、農林業もこのリストに入っています。
ア(週1回の巡視・直ちに措置義務)、イ(金融業は第二種でも選任可)、エ(一定規模以上で専任義務)、オ(医師・歯科医師は業種問わず選任可)はいずれも正しい記述です。
衛生管理者の資格要件(業種別・安衛則第7条第1項第3号):
衛生管理者の資格要件は業種によって異なります。一定の有害業務を含む業種(第一種対象業種)では第一種衛生管理者免許(または衛生工学衛生管理者免許)が必要であり、それ以外の業種では第二種でも選任できます。
各選択肢の正誤と根拠:
- ア(正): 安衛則第11条第1項の規定通り。週1回の巡視と、有害のおそれがあるときの直ちに措置を講じる義務が明示されています。
- イ(正): 金融業は安衛則第7条第1項第3号ロの「その他の業種」(第二種でも選任できる業種)に含まれます。有害化学物質等を扱わないサービス系業種は第二種で足ります(常時1,000人でも資格区分は業種で決まり、人数では変わりません)。
- ウ(誤): 農林業(農林畜水産業)は安衛則第7条第1項第3号イの「第一種が必要な業種」リスト(農林畜水産業・鉱業・建設業・製造業・電気業・ガス業・水道業・熱供給業・運送業・自動車整備業・機械修理業・医療業・清掃業)に含まれています。したがって第二種では選任できず、第一種衛生管理者免許または衛生工学衛生管理者免許が必要です。「第二種で選任できる」とするウが誤りです。
- エ(正): 安衛則第7条第2項により、一定の規模(常時500人超かつ一定有害業務30人以上、または常時1,000人超)の事業場では少なくとも1人の専任衛生管理者が必要です。
- オ(正): 安衛則第10条第3号の通り、医師・歯科医師は業種にかかわらず衛生管理者として選任することができます(資格として最上位の扱い)。
【理論的背景】
衛生管理者の資格要件(安衛則第7条第1項第3号)は、「事業場の業種特性に応じた衛生管理能力を確保する」ことを目的とします。有害業務を含みやすい屋外・工業的業種では第一種の専門知識が必要ですが、一般的なオフィス業務が主の業種では第二種で対応できるという設計です。
第一種と第二種の主な試験範囲の違い:
- 第二種: 有害業務に係る科目が除かれた形での試験(関係法令・労働衛生・労働生理の有害業務以外)
- 第一種: 第二種の範囲に加え、有害業務に係る関係法令・労働衛生(kankei_yugai・eisei_yugai)が追加
農林業が第一種を要する理由: 農林畜水産業は屋外作業・機械作業・農薬や粉じん等の有害要因を含みうる業種として、安衛則第7条第1項第3号イの「第一種が必要な業種」に明記されています。受験者が「農業はオフィス的な有害業務がないから第二種でよい」と誤解しやすい点が出題の狙いです。
【実務・条文構造】
第一種衛生管理者免許(または衛生工学衛生管理者免許)が必要な業種(安衛則第7条第1項第3号イ):
- 農林畜水産業 ← 第一種が必要(本問の論点)
- 鉱業
- 建設業
- 製造業(物の加工業を含む)
- 電気業・ガス業・水道業・熱供給業
- 運送業
- 自動車整備業・機械修理業
- 医療業
- 清掃業
第二種衛生管理者でも選任できる業種(安衛則第7条第1項第3号ロ=上記以外の「その他の業種」):
- 金融業・保険業・不動産業
- 情報通信業・放送業
- 各種商品卸売業・小売業(一般的なもの)
- 旅館業・ゴルフ場業・飲食店等の接客娯楽業
- 教育・学習支援業
- 一般のサービス業全般
注意点: 「その他の業種(第二種可)」は、第一種必要業種リストに入らない業種です。農林畜水産業・運送業・清掃業・医療業などは一見有害業務が少なそうに見えても第一種必要業種に明記されている点に注意が必要です。
衛生管理者の職務の詳細(安衛則第11条):
1. 健康に異常がある者の発見および処置
2. 作業環境の衛生上の調査
3. 作業条件・施設等の衛生上の改善
4. 労働衛生保護具・救急用具等の点検・整備
5. 衛生教育・健康相談その他労働者の健康保持に必要な事項
6. 労働者の負傷・疾病の統計等の作成・保存
7. 作業場等の定期巡視(少なくとも毎週1回)
8. 前各号に掲げるもののほか、衛生日誌の記載等
「直ちに必要な措置を講じる」(安衛則第11条第1項後段)の意味:
衛生管理者は巡視結果として有害のおそれを発見した場合、「直ちに事業者に報告し、必要な措置を講じるよう申し出る」または衛生管理者自身が「直ちに必要な応急措置を講じる」ことが求められます。産業医と同様に「自ら直ちに抜本的な設備改善をする」権限は限られますが、緊急の措置(作業停止・立入禁止等)は管理者権限として認められます。
【試験での位置づけ】
衛生管理者の資格要件では「農林畜水産業・鉱業・建設業・製造業・運送業・医療業・清掃業等は第一種必須」「金融・情報・一般小売・サービス系は第二種でも可」「医師・歯科医師は業種問わず可」が頻出です。農林業を「有害業務が少なそうだから第二種でよい」と誤解させるウの誤りは典型的な引っかけです。また週1回の巡視義務と「直ちに措置を講じる義務」も重要で、選択肢アは正しい内容として頻出します。
【各選択肢の発展補足】
- ア: 「直ちに措置を講じる」(安衛則第11条第1項後段)は衛生管理者の能動的な義務を示しています。「報告だけして措置は事業者の判断で」ではなく、「直ちに」必要な措置を講じる義務があります。産業医の「勧告」と衛生管理者の「直ちに措置」の権限の範囲が異なる点に注意が必要です。
- イ: 金融業が第二種で足りる理由は、銀行・証券会社等の主な業務が書類・コンピュータ業務であり、有害化学物質・騒音・振動等の物理的・化学的有害要因への継続的な曝露が主業ではないためです。資格区分は労働者数ではなく業種分類で決まるため、常時1,000人を使用していても金融業なら第二種で選任できます。
- ウ: 農林畜水産業は安衛則第7条第1項第3号イに「第一種が必要な業種」として明記されています。「農業は工場のような有害物質がないから第二種でよい」という直感は誤りで、農林畜水産業・運送業・清掃業・医療業などは有害業務が少なそうに見えても第一種必要業種に列挙されている点が出題の狙いです。
- エ: 専任衛生管理者の必要な事業場規模と有害業務条件は衛生管理者の選任人数・専任規定(安衛則第7条第1項第4号・第2項)と連動します。専任義務がある場合、衛生管理者は人事・総務・生産管理等の他業務と兼任できません。
- オ: 医師・歯科医師が業種問わず選任できる理由は、医師免許・歯科医師免許が国家資格として最上位の専門的健康管理能力を担保しているためです(安衛則第10条第3号)。ただし産業医と衛生管理者は別の資格・役割であり、産業医として選任されても衛生管理者の選任が別途必要な場合があります(兼任は実務上可能な場合あり)。
【根拠法令】労働安全衛生規則 第11条(衛生管理者の職務・週1回巡視・直ちに措置義務)・第7条第1項第3号(業種別資格要件:農林畜水産業・製造業・鉱業・運送業・医療業・清掃業等は第一種必要、その他の業種は第二種でも可)・第10条第3号(医師・歯科医師等の資格)
【補足】農林業(農林畜水産業)は第一種衛生管理者が必要(第二種では選任不可)。金融・一般サービス業は第二種で可。医師・歯科医師は業種問わず選任可能。週1回巡視と有害のおそれ時の直ちに措置義務は正しい規定。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働安全衛生規則(安衛則)第7条第1項第3号(業種別の資格要件)・第7条第2項(専任)・第11条(職務・巡視)・第10条第3号(医師等の資格)。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。