関係法令(有害業務以外)41労働基準法

衛生管理者 関係法令(有害業務以外) 問41:労働基準法

年次有給休暇(以下「年休」という)の付与・取得に関する記述として、**誤っているものを1つ**選べ。

  • 使用者は、年10日以上の年休が付与される労働者に対し、その付与日から1年以内に、5日については労働者の意見を聴き、時季を指定して取得させなければならない。
  • 使用者の時季指定義務は、労働者が自ら請求・取得した日数及び労使協定による計画的付与日数を、5日から控除した日数について生じる。
  • 労使協定を締結した場合、年休の計画的付与により、労働者の有する年休日数のすべてを一斉に消化させることができる。正答
  • 年休の時効は2年であり、前年度に取得できなかった年休は翌年度に繰り越すことができる。
  • 年休取得が5日未満にとどまった労働者を生じさせた使用者には、労働基準法違反として30万円以下の罰金が科される場合がある。
正答:労使協定を締結した場合、年休の計画的付与により、労働者の有する年休日数のすべてを一斉に消化させることができる。

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計画的付与(労使協定による年休の一斉取得)の場合でも、労働者1人あたり最低5日分の年休は自由取得分として残さなければなりません。選択肢ウは「全日数を一斉に消化させることができる」としており、これが誤りです。法は「5日を超える分についてのみ計画的付与が可能」と規定しています。年10日以上付与された労働者については、使用者は付与日から1年以内に5日を取得させる義務があります(アは正しい)。違反した使用者には30万円以下の罰金が科されます(オは正しい)。

標準試験対策の基準レベル

年次有給休暇の5日取得義務(労基法第39条第7項・8項)の仕組みを整理します。2019年4月施行の改正により、年10日以上の年休が付与されるすべての労働者(パート・管理職も含む)について、使用者は付与日から1年以内に5日の年休を取得させる義務を負います。その際、使用者は労働者の意見を聴取したうえで時季を指定します(ア:正しい)。ただし、労働者自身が請求・取得した日数、または計画的付与で取得した日数は、5日から控除されます(イ:正しい)。計画的付与(第39条第6項)は、労使協定の締結により5日を超える部分について使用者が一斉に年休を付与できる制度です。「5日を超える部分」に限られますから、全日数を計画的付与で消化することはできません(ウ:誤り)。年休の繰越有効期間は付与日から2年です(エ:正しい)。5日未満取得にとどめた使用者には30万円以下の罰金(オ:正しい)と、具体的には1名につき1罪として処罰される可能性があります。

上級誤答論破・根拠法令まで深掘り

#### 1. 5日取得義務の立法経緯と対象者

2019年4月(働き方改革関連法)施行の改正労基法第39条第7項は、年10日以上の年休を付与される労働者全員(一般労働者・短時間労働者・管理監督者を含む)を対象に、使用者に年5日の時季指定義務を課しました。改正前の日本の年休取得率は50%前後にとどまり、OECD加盟国最低水準が常態化していたことを背景に、義務化によって取得を底上げする政策意図があります。「年10日以上付与」の判定は、入社後の勤続年数・所定労働日数に基づく付与日数算定によります。たとえば週所定5日以上の労働者は入社6ヶ月経過で10日付与されるため、初年度から義務の対象となります。

#### 2. 計画的付与と「5日留保ルール」の法的根拠

計画的付与(一斉付与・交替付与・個人別計画付与)は、労使協定を締結することにより、年休のうち5日を超える部分について使用者が時季を指定して付与できる制度です(労基法第39条第6項)。逆に言えば、労働者1人につき少なくとも5日分は個人の自由意思による取得のために留保しなければなりません。したがって「全日数を計画的付与で消化」は法律上不可能であり、ウが誤りです。この5日留保ルールは、計画的付与制度が導入された1987年改正時から一貫して維持されている基本原則です。使用者の時季指定義務(5日)も、労働者自身の取得分・計画的付与分を差し引いた残日数にのみ発生するため、三者の関係(自発的取得 + 計画的付与 + 使用者時季指定 = 5日以上)を整合的に理解することが重要です。

#### 3. 時効・繰越・罰則の法令根拠

年休の権利は基準法第115条により2年の時効にかかります。付与日(基準日)から1年間取得されなかった年休は翌年度に繰り越され、2年目の終了で消滅します(エ:正しい)。使用者が5日取得義務に違反した場合、労基法第39条第7項違反として同法第120条により30万円以下の罰金が科されます(オ:正しい)。この罰則は労働者1人を取得させなかったごとに1罪として成立すると解釈されており、複数名違反では罰金が積み上がります。さらに、労働基準監督署による是正勧告・指導の対象ともなります。

#### 4. 衛生管理者試験での頻出論点と職場実務

試験では「計画的付与は5日超部分のみ」「時季指定義務は自発取得・計画取得を控除後の残日数」「罰則30万円以下の罰金」が正しい肢として提示され、「全日数の計画的付与が可能」「1年以内に3日取得させればよい」「管理職には適用しない」などが誤肢として登場します。衛生管理者の実務では、年休管理台帳(取得日・残日数・時季指定状況)の整備、5日取得の進捗管理(付与日から6〜9ヶ月時点での確認)、取得を阻害している職場環境・業務量の改善提案が中心業務となります。年休管理システムの整備・活用も重要な衛生管理の視点です。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働基準法第39条第8項・第9項(年次有給休暇の時季指定)・同条第6項(計画的付与)。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

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