衛生管理者 関係法令(有害業務以外) 問45:健康管理
特定業務従事者の健康診断に関する次の記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア深夜業を含む業務(以下「特定業務」という)に常時従事する労働者に対しては、当該業務への配置替えの際に健康診断を実施しなければならない。
- イ特定業務従事者に対する健康診断は、6か月以内ごとに1回実施しなければならないため、一般の定期健康診断(1年以内ごとに1回)と合わせると、年に最低2回の健康診断が必要である。
- ウ特定業務従事者の健康診断では、胸部エックス線検査を含むすべての検査項目について、6か月以内ごとに1回実施しなければならない。正答
- エ特定業務から非特定業務(深夜業を含まない業務)へ配置転換された場合、その後は一般の定期健康診断(1年以内ごとに1回)のペースに戻る。
- オ特定業務従事者の健康診断で医師が必要と認めた場合、定期健康診断で省略可能とされている胸部エックス線検査を実施しなければならない。
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誤っているのはウです。特定業務従事者の健康診断(安衛則第45条)は原則として6か月以内ごとに1回実施しますが、胸部エックス線検査および喀痰検査については1年以内ごとに1回で足りる(安衛則第45条第1項ただし書)とされています。したがって「胸部エックス線検査を含むすべての項目を6か月以内ごとに」とするウは誤りです。
ア(配置替えの際の実施)、イ(6か月以内ごと=一般定期健診と合わせ年2回相当)、エ(特定業務を外れれば年1回ペースに戻る)、オ(医師が必要と認めれば省略可の胸部エックス線も実施)はいずれも正しい記述です。
特定業務従事者の健康診断(安衛則第45条)の概要:
安衛則第45条は、一定の危険有害業務・深夜業等の「特定業務」に従事する労働者に対して、定期健康診断よりも高頻度(6か月以内ごとに1回)での健康診断実施を義務づけています。
各選択肢の正誤と根拠:
- ア(正): 配置替えの際の実施義務あり(安衛則第45条第1項)。特定業務への異動時に実施するのは「雇入れ時健康診断」に準じた措置です。
- イ(正): 6か月以内ごとに1回、すなわち年2回(以上)が特定業務従事者への義務。一般定期健診の代わりに活用できるため「年2回」が基本的な運用です。
- ウ(誤): 特定業務従事者の健康診断は原則6か月以内ごとに1回ですが、胸部エックス線検査・喀痰検査は1年以内ごとに1回で足ります(安衛則第45条第1項ただし書)。よって「胸部エックス線検査を含むすべての項目を6か月以内ごとに」とするウは誤りです。検査項目自体は定期健康診断(安衛則第44条)と同じですが、一部項目の実施頻度が異なる点が出題の核心です。
- エ(正): 特定業務から離れれば、原則として一般の定期健康診断(年1回)ペースに戻ります。
- オ(正): 特定業務従事者健康診断でも、医師が必要と認めれば定期健診で省略可の項目(胸部エックス線・喀痰検査等)を実施する義務が生じます。
【理論的背景】
特定業務従事者の健康診断(安衛則第45条)は、「一定の有害性・負荷がある業務に従事する労働者は、一般の定期健康診断(年1回)では健康モニタリングが不十分」という観点から設けられた制度です。深夜業・重量物取扱い・異常気圧下での業務など、身体的・精神的負荷が大きい業務への従事者の健康悪化を早期に把握するため、6か月以内ごとという高頻度での健診が義務づけられています。
この制度は、有害物質への暴露が特定される「特殊健康診断(特化則・有機則等)」とは区別されます。特殊健康診断は特定の有害物質に着目した検査項目を持ちますが、特定業務従事者健康診断は一般的な健康状態の確認(定期健康診断の11項目)を高頻度で行うものです。
【実務・条文構造】
特定業務の範囲(安衛則第13条第1項第2号に定める業務、安衛則第45条が引用):
- 多量の高熱物体を取り扱う業務・著しく暑熱な場所における業務
- 多量の低温物体を取り扱う業務・著しく寒冷な場所における業務
- ラジウム放射線・エックス線等の有害放射線にさらされる業務
- 土石・獣毛等のじんあいまたは粉末を著しく飛散する場所における業務
- 異常気圧下における業務
- さく岩機・鋲打機等の強烈な振動を与える機械器具を用いる業務
- 重量物の取扱い等重激な業務
- ボイラー製造等強烈な騒音を発する場所における業務
- 深夜業を含む業務(最も一般的な該当業務)
- 水銀・鉛・クロム等の有害物を取り扱う業務(ただし有害業務以外に分類される場合もある)
健康診断の検査項目(安衛則第45条→第44条準用):
1. 既往歴・業務歴の調査
2. 自覚症状・他覚症状の有無の検査
3. 身長・体重・腹囲・視力・聴力の検査
4. 胸部エックス線検査(省略可の条件あり)・喀痰検査(省略可)
5. 血圧測定
6. 貧血検査(血色素量・赤血球数)
7. 肝機能検査(GOT・GPT・γ-GTP)
8. 血中脂質検査(LDLコレステロール・HDLコレステロール・血清トリグリセライド)
9. 血糖検査
10. 尿検査(尿中の糖・蛋白の有無)
11. 心電図検査
実施頻度の例外(ウの誤りの核心):
特定業務従事者健康診断は原則6か月以内ごとに1回ですが、安衛則第45条第1項ただし書により、胸部エックス線検査および喀痰検査は1年以内ごとに1回で足ります。検査項目そのものは定期健康診断(安衛則第44条)と共通ですが、この2項目だけは6か月ごとに毎回実施する必要がないため、「すべての項目を6か月以内ごとに」とする記述は誤りになります。また定期健康診断と同様、医師が必要でないと認める一定項目の省略も可能です。
配置替えの際の実施(安衛則第45条第2項):
特定業務への「配置替えの際」にも健康診断実施が義務づけられています。これは、雇入れ時健康診断(安衛則第43条)が「雇い入れの際」に実施されるのと同様の考え方で、特定業務への従事を開始する時点でのベースラインを把握するためです。
【試験での位置づけ】
特定業務従事者健康診断の頻出ポイント:
- 「6か月以内ごとに1回」(一般定期健診の2倍頻度)
- 「深夜業を含む業務が典型的な特定業務」
- 「検査項目は定期健康診断と共通だが、胸部エックス線・喀痰検査は1年以内ごとでよい」
- 「配置替えの際にも実施義務あり」
- 「特殊健康診断(有害物質特定の検査)とは別制度」
誤りの選択肢として「特殊健康診断と同じ検査項目」(誤り。特殊健診は物質特異的)、「全体を1年以内ごとに1回でよい」(誤り。原則6か月以内ごと)、「胸部エックス線も含め全項目を6か月ごとに」(誤り。胸部エックス線・喀痰検査は1年以内ごと)、「深夜業以外の特定業務は対象外」(誤り。多数の業務が対象)などが登場します。
【各選択肢の発展補足】
- ア: 配置替えの際の実施義務は、「転職・部署異動により特定業務を初めて担当する時点での健康状態確認」が目的です。配置前の健康状態を記録することで、業務起因の健康変化を後から追跡できます。
- イ: 年2回の健康診断(6か月ごと)の実施は、実務上「前期(6月頃)」「後期(12月頃)」などの定期的なスケジュールで管理することが一般的です。一般従業員(年1回)と特定業務従事者(年2回)の両方を管理する事業場では、健康管理の仕組みの複雑さが増します。
- ウ: 誤りの本質は実施頻度です。検査項目自体は定期健康診断(安衛則第44条)と共通ですが、胸部エックス線検査・喀痰検査だけは1年以内ごとに1回でよく(安衛則第45条第1項ただし書)、6か月ごとに毎回実施する必要はありません。「すべての項目を6か月以内ごとに」という断定が誤りです。
- エ: 特定業務から外れた後は原則として年1回ペースに戻ります。ただし元の業務に戻る可能性が高い場合や、特定業務従事中に健康上の問題が発見されていた場合は、医師の判断でより高頻度のモニタリングが継続される場合があります。
- オ: 胸部エックス線検査・喀痰検査は、40歳未満かつ前回異常なしの場合等に省略可能とされていますが、医師が特に必要と判断した場合は省略できません。特定業務従事者の場合、業務負荷による呼吸器への影響も考慮して省略条件を適用します。
【根拠法令】労働安全衛生規則 第45条(特定業務従事者の健康診断:原則6か月以内ごと・配置替え時実施・胸部エックス線及び喀痰検査は1年以内ごとでよい)・第44条(定期健康診断の項目・省略条件)
【補足】特定業務(深夜業等)従事者は原則6か月以内ごとに健診実施。ただし胸部エックス線検査・喀痰検査は1年以内ごとに1回で足りる。検査項目自体は定期健診と共通。配置替え時にも実施義務あり。特殊健康診断(有害物質特化)とは別制度。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働安全衛生規則(安衛則)第45条(特定業務従事者の健康診断)・第44条(定期健康診断)。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。