登録販売者 第2章 人体の働きと医薬品 問33:人体の働きと医薬品(血液・免疫)
白血球の種類と免疫反応に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア好中球は白血球の中で最も数が少なく、主にアレルギー反応に関与する。
- イリンパ球は大きく2種類(T細胞とB細胞)に分類され、B細胞は抗体(免疫グロブリン)を産生して液性免疫を担う。正答
- ウ好酸球は細菌感染に最も主要な役割を持ち、アレルギーとは無関係の白血球である。
- エ白血球はすべて骨髄で産生され、分化・成熟後は血液中にのみ存在し、組織には移行しない。
- オマクロファージは白血球の一種(単球由来)であり、異物を貪食(ファゴサイトーシス)する機能を持つが、抗原提示機能はない。
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正答はイです。
リンパ球はT細胞(T lymphocyte)とB細胞(B lymphocyte)の大きく2種類に分かれます。B細胞はプラズマ細胞(形質細胞)に分化して抗体(免疫グロブリン:IgG・IgM・IgA・IgE等)を産生し、抗体による免疫(液性免疫)を担います。T細胞は感染細胞や腫瘍細胞を直接攻撃する細胞性免疫を担います。
アは誤りで、好中球は白血球の中で最も多く(約60〜70%)、細菌を貪食する主役です。ウも誤りで、好酸球はアレルギー・寄生虫感染に関係します。エも誤りで、白血球は組織にも移行します。オも誤りで、マクロファージは抗原提示機能も持ちます。
白血球の種類と機能一覧:
| 種類 | 割合(目安) | 主な機能 |
|---|---|---|
| 好中球(Neutrophil) | 約60〜70% | 細菌・真菌の貪食(最多・炎症の主役) |
| リンパ球(Lymphocyte) | 約20〜30% | 免疫(T細胞:細胞性免疫、B細胞:液性免疫) |
| 単球(Monocyte) | 約3〜8% | 組織に移行してマクロファージになり貪食・抗原提示 |
| 好酸球(Eosinophil) | 約1〜4% | アレルギー反応・寄生虫への対応 |
| 好塩基球(Basophil) | 約0〜1% | IgEの産生受容・ヒスタミン放出(肥満細胞に類似) |
アレルギーにおける好酸球の役割(ウの誤りの根拠):
好酸球はIgEを介したアレルギー反応(I型過敏反応)の後期反応相(late-phase reaction)に関与します。アレルギー性鼻炎・喘息の慢性炎症では好酸球が組織に浸潤し、ロイコトリエン・メジャー塩基性タンパク(MBP)等を放出して炎症を持続・増悪させます。好酸球は「アレルギーと無関係」ではなく、むしろアレルギー炎症の「第2波」の主役です。
マクロファージの抗原提示機能(オの誤りの根拠):
単球が組織に移行するとマクロファージに分化します。マクロファージはファゴサイトーシス(貪食)で異物を分解した後、その断片をMHCクラスII分子に乗せてT細胞に提示(抗原提示)します。これが適応免疫の起動点となります。抗原提示機能がない、というのは誤りです。
各選択肢の解説:
- ア(誤): 好中球は白血球の中で最も多い(約60〜70%)。細菌貪食が主な役割でアレルギーとは主に関係しない。
- イ(正): T細胞・B細胞の分類、B細胞による液性免疫(抗体産生)は正しい。
- ウ(誤): 好酸球はアレルギー・寄生虫感染に関係する。細菌感染が主な役割ではない。
- エ(誤): 白血球は組織にも移行する(好中球の遊走・単球→マクロファージへの分化等)。
- オ(誤): マクロファージは抗原提示機能を持つ(免疫応答の司令塔的役割)。
【適応免疫の精密な仕組み:T細胞とB細胞の協調と医薬品との接点】
免疫系は「自然免疫(innate immunity)」と「適応免疫(adaptive immunity)」に大別されます。登録販売者試験では主に自然免疫(好中球・マクロファージの貪食)と適応免疫(リンパ球)の基本的な役割が問われますが、背景となる機序を理解することでアレルギー薬・免疫調節薬の作用がより深く理解できます。
自然免疫(第一防衛線):
病原体が侵入した際、まず好中球・マクロファージ・NK細胞(自然killer細胞)・樹状細胞が非特異的に反応します。パターン認識受容体(PRR:Toll様受容体等)が病原体の共通構造(PAMP:病原体関連分子パターン)を認識→炎症性サイトカイン(IL-1・IL-6・TNF-α等)を放出→発熱・局所炎症・急性期反応が起きます。
適応免疫(第二防衛線・記憶):
1. 樹状細胞(最強の抗原提示細胞)が抗原を取り込み、リンパ節でナイーブT細胞に提示。
2. T細胞の活性化・分化:
- CD4⁺ T細胞(ヘルパーT細胞: Th): MHCクラスII+抗原ペプチドを認識。Th1(細胞性免疫誘導・マクロファージ活性化)、Th2(液性免疫誘導・B細胞活性化・IL-4・IL-5・IL-13産生→IgE産生・好酸球活性化)、Th17(好中球動員・自己免疫)等に分化。
- CD8⁺ T細胞(細胞傷害性T細胞: CTL): MHCクラスI+抗原ペプチドを認識→感染細胞・腫瘍細胞を直接傷害。
3. B細胞の活性化・分化: Th2からのIL-4・IL-21等のサポートを受けてB細胞が形質細胞(プラズマ細胞)に分化→クラススイッチ(IgM→IgG/IgA/IgE等)→抗体産生。記憶B細胞も形成→二次免疫応答の迅速化。
Th1/Th2バランスとアレルギー:
アレルギー体質(アトピー性体質)はTh2優位の免疫バランスが背景にあります:
- Th2細胞→IL-4産生→B細胞がIgE産生にクラススイッチ
- IgE→マスト細胞・好塩基球の表面FcεRI受容体に結合(感作)
- 再度アレルゲン暴露→IgE架橋→マスト細胞脱顆粒→ヒスタミン放出→アレルギー症状
好酸球とアレルギーの深い関係:
Th2細胞はIL-5を産生し、好酸球の骨髄からの動員・活性化を促進します。活性化した好酸球は:
- 主要塩基性タンパク(MBP): 気道上皮・粘膜を傷害
- ロイコトリエンC4(LTC4): 気管支収縮・粘液分泌促進
- 好酸球カチオン蛋白(ECP): 組織傷害・神経毒性
これらが喘息の気道炎症・気道過敏性亢進の慢性化に関与します。抗IL-5抗体製剤(メポリズマブ等)は重症喘息に使われる生物学的製剤で、好酸球数を選択的に減少させて炎症を抑制します(OTCの範囲外ですが、機序理解として重要)。
OTC医薬品との接点:
1. 抗ヒスタミン薬(第1・2世代): マスト細胞・好塩基球が放出するヒスタミンのH1受容体への結合を遮断→アレルギー症状(じんましん・鼻炎・結膜炎)を緩和。B細胞やT細胞を直接抑制するわけではない。
2. ステロイド外用薬: 局所の炎症性サイトカイン産生・好酸球浸潤・マスト細胞活性化を抑制→皮膚炎・湿疹の炎症を強力に抑える。
3. 免疫調節的作用を持つ生薬(漢方): 免疫の過剰反応(アレルギー)を調整する可能性が示唆されるが、機序は複合的で完全には解明されていない。
免疫学的背景の理解は、「なぜこの成分がこのアレルギー症状に効くのか」「なぜこの人はこのアレルギー薬が合わないのか」を推論するための基盤となります。登録販売者試験では免疫機序の暗記より「白血球の種類・役割・アレルギーとの関係の基本的理解」が求められます。
<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): 設問・正答イ(リンパ球はT細胞とB細胞に大別、B細胞は抗体産生=液性免疫)は一意性・事実ともOK。誤肢ア(好中球が最少でアレルギー主体)・ウ(好酸球は細菌感染主体でアレルギー無関係)・エ(白血球は組織移行しない)・オ(マクロファージに抗原提示なし)はいずれも明確な誤り。好中球60〜70%・好酸球はアレルギー/寄生虫・マクロファージの抗原提示等のYMYL事実も正確。修正不要。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第2章 第2節「血液・リンパ」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。