第2章 人体の働きと医薬品13人体の構造と働き(血液)

登録販売者 第2章 人体の働きと医薬品 問13:人体の構造と働き(血液)

血液の成分とその機能に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • 赤血球は核を持つ有核細胞であり、骨髄で産生された後も核を維持してヘモグロビンによる酸素運搬を継続する。
  • 白血球はすべて同じ形態・機能を持つ単一の細胞種であり、骨髄で産生されて体内の異物を貪食する役割を担う。
  • 血漿には、アルブミン・免疫グロブリン(抗体)・フィブリノゲン等のタンパク質が含まれており、アルブミンは多くの薬物と結合して血中での輸送に関与する。正答
  • 血小板は核を持つ大型の細胞であり、血管が傷ついた際に活性化されて血液凝固に関与するが、凝固因子の産生は主に腎臓が担っている。
  • 血液凝固では、まずフィブリン(線維素)の網が先に形成されて一次血栓となり、その後に血小板が遅れて集まって二次血栓を作るという順序で進行する。
正答:血漿には、アルブミン・免疫グロブリン(抗体)・フィブリノゲン等のタンパク質が含まれており、アルブミンは多くの薬物と結合して血中での輸送に関与する。

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正答はウです。

血漿タンパク質の中で最も多いアルブミンは、薬物・脂肪酸・ホルモン等を輸送するキャリアタンパクです。多くの薬物(NSAIDs・ワルファリン等)は血中でアルブミンと結合して輸送され、遊離型のみが薬効を発揮します。この「タンパク結合」は薬物動態の重要概念です。

誤りの選択肢を整理します。アの赤血球は成熟すると核を失い(無核)、酸素運搬専用の細胞になります。イの白血球は複数種(好中球・好酸球・好塩基球・単球・リンパ球等)があり単一ではありません。エの血小板は核を持たない無核の細胞断片(巨核球由来)で、凝固因子は主に肝臓が産生します。オは止血の順序が逆で、正しくは血小板による一次血栓(一次止血)が先、フィブリンによる二次血栓(二次止血)が後です。

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各選択肢の詳細解説:

  • ア(誤): 赤血球(成熟赤血球)は核を持ちません(無核細胞)。骨髄で産生される過程(赤芽球)では核がありますが、成熟過程で核を放出して無核の円盤型赤血球になります。無核化によって細胞内容積がヘモグロビンの充填に使われます(1個の赤血球に約2.7億分子のHb)。寿命は約120日。
  • イ(誤): 白血球は複数の種類があります: 顆粒球(好中球・好酸球・好塩基球)、単球(マクロファージ前駆体)、リンパ球(T細胞・B細胞・NK細胞)。機能も多様(貪食・抗体産生・細胞性免疫等)です。
  • ウ(正): 血漿タンパク質の組成: アルブミン(50〜60%・膠質浸透圧維持・薬物・脂肪酸・ホルモン結合輸送)・グロブリン(α・β・γ: γグロブリン=免疫グロブリン)・フィブリノゲン(凝固因子Ⅰ・線維素原)。アルブミンとの薬物結合は薬物動態に重大な影響を与えます。
  • エ(誤): 血小板は核を持たない「細胞断片」です(巨核球が断片化して産生)。凝固因子(Ⅱ・Ⅶ・Ⅸ・Ⅹ等のビタミンK依存性凝固因子・フィブリノゲン等)は主に肝臓で産生されます。腎臓は凝固因子の産生を担いません。
  • オ(誤): 止血の順序が逆です。正しくは、血管損傷部にまず血小板が粘着・凝集して一次血栓(一次止血)を形成し、その後に凝固因子の連鎖反応でフィブリン網が形成されて血小板血栓を補強した二次血栓(二次止血)ができます。選択肢オは「フィブリンが先・血小板が後」としており誤りです。

血液の有形成分まとめ:

| 成分 | 核の有無 | 寿命 | 主な機能 |

|---|---|---|---|

| 赤血球(RBC) | なし(成熟後) | 約120日 | O₂・CO₂運搬 |

| 白血球(WBC) | あり(大部分) | 数時間〜数年(種類による) | 免疫・防御 |

| 血小板(PLT) | なし(細胞断片) | 約7〜10日 | 止血・血液凝固 |

上級誤答論破・根拠(手引き)まで深掘り

【アルブミンと薬物タンパク結合の薬物動態学的意義】

アルブミン(分子量約66,000Da)は血中の薬物運搬の主役です:

薬物のタンパク結合と薬効:

  • 薬物は「結合型(アルブミン等と結合)」と「遊離型(free drug)」の平衡状態にある
  • 薬理活性を持つのは遊離型のみ(結合型は不活性・大分子なので血管外に出られない)
  • タンパク結合率が高い薬物(>90%): ワルファリン(99%)・NSAIDs・スタチン等
  • タンパク結合率が低い薬物(<20%): リチウム・アルコール等

タンパク結合の臨床的問題:

1. 競合的置換(薬物相互作用): アルブミンの結合部位は限られており、高親和性薬が低親和性薬を置換→遊離型が急増→過剰効果/中毒

- 例: ワルファリン(高結合)+ 別の薬 → 遊離ワルファリン増加 → 出血リスク

2. 低アルブミン血症: 肝硬変・腎症・低栄養→アルブミン低下→薬物の遊離型増加→副作用リスク増大

- 高齢者・重症患者では特に注意

登録販売者の視点: 低アルブミン血症が疑われる患者(肝疾患・腎疾患・低栄養)へのOTC薬販売では、医師・薬剤師への確認を促すことが重要です。

【血液凝固カスケードとビタミンKの役割】

血液凝固は「内因系」と「外因系」の2経路があり、最終的にプロトロンビン→トロンビン→フィブリノゲン→フィブリンの共通経路に合流します:

```

外因系: 組織因子(TF)+ 第Ⅶ因子 → 第Ⅹ因子活性化

内因系: 第Ⅻ因子(接触活性化)→ 第Ⅺ→Ⅸ→Ⅷ→Ⅹ因子活性化

共通経路: 第Ⅹ因子活性化 → プロトロンビン→トロンビン → フィブリノゲン→フィブリン

最終: フィブリン網(フィブリン安定化因子Ⅷで架橋)→ 血小板を巻き込んだ血栓

```

ビタミンK依存性凝固因子(VKOR経路):

  • 第Ⅱ(プロトロンビン)・Ⅶ・Ⅸ・Ⅹ因子はビタミンKを補因子として肝臓で産生
  • ワルファリン(抗凝固薬)はビタミンKエポキシドレダクターゼ(VKOR)を阻害→ビタミンK欠乏状態を作る→凝固因子産生低下→抗凝固
  • OTC薬との相互作用: ビタミンK含有食品(納豆・青汁等)の摂取でワルファリン効果が減弱(抗凝固作用が弱まる)→処方薬との相互作用問題
  • 登録販売者: ワルファリン服用中の顧客に「納豆・青汁は避けるよう医師から言われていますか?」と確認できることが重要

【血液細胞の産生(造血)と造血幹細胞】

すべての血液細胞は「造血幹細胞(hematopoietic stem cell: HSC)」から産生されます(骨髄造血):

```

造血幹細胞(多能性)

├── 骨髄系前駆細胞 ─── 赤芽球→赤血球

│ ├── 巨核球→血小板

│ ├── 顆粒球(好中球・好酸球・好塩基球)

│ └── 単球→マクロファージ(組織に定着)

└── リンパ系前駆細胞 ─── T細胞(胸腺で成熟)

└── B細胞(骨髄で成熟)→形質細胞→抗体産生

```

造血に必要な栄養素:

| 栄養素 | 造血における役割 | 欠乏時の影響 |

|---|---|---|

| 鉄(Fe²⁺) | Hb合成(ヘムの構成) | 鉄欠乏性貧血 |

| ビタミンB₁₂ | DNA合成(赤芽球の細胞分裂) | 巨赤芽球性貧血 |

| 葉酸 | プリン・ピリミジン合成(DNA合成) | 巨赤芽球性貧血 |

| エリスロポエチン(EPO) | 腎臓産生ホルモン・赤芽球の分化促進 | 腎性貧血(慢性腎不全) |

OTC薬との関連:

  • 貧血改善薬(鉄・ビタミンB₁₂・葉酸含有): 「第3類医薬品・栄養補助食品」として市販
  • 登録販売者は「貧血症状(動悸・息切れ・易疲労感)」を訴える顧客に対して、原因が鉄欠乏性貧血以外(出血・溶血等)の可能性を考慮して受診勧奨する判断が必要

血液の構造・機能の理解は、第3章「貧血用薬・栄養補助薬」「解熱鎮痛薬(抗凝固)」などの OTC薬の作用機序を理解する基礎となります。

<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): 【重大欠陥を修正】当初は正答ウ(アルブミンの薬物結合輸送)と選択肢オ(血液凝固の一次→二次血栓)が両方とも正しく、「正しいものを1つ選ぶ」設問で二重正答だった。選択肢オを「フィブリンが先・血小板が後」と止血順序を逆にして誤肢化し、正答をウに一意化(解説beginner/standardも整合修正)。赤血球無核・白血球多様性・血小板=無核細胞断片/凝固因子は肝臓産生、の記述は手引き整合。段差性維持。 -->

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第2章 第3節「循環器系」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

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