第2章 人体の働きと医薬品15人体の構造と働き(感覚器・目)

登録販売者 第2章 人体の働きと医薬品 問15:人体の構造と働き(感覚器・目)

目の構造と機能に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • 角膜は眼球の外層を覆う透明な膜であり、血管を持たず栄養は涙液や眼房水から供給される。また、神経は豊富であるため角膜への異物接触は鋭敏な痛みを生じる。正答
  • 水晶体は虹彩の後方にある透明な二重凸レンズ状の構造で、近くのものを見るときは毛様体筋が弛緩して水晶体が薄くなり、遠くのものを見るときは毛様体筋が収縮して水晶体が厚くなることでピント調節を行う。
  • 房水は毛様体で産生されて前房・後房を循環し、シュレム管から排水されるが、この排水経路が障害されると眼圧が低下する。
  • 網膜の視細胞には、明所で色を識別する錐体細胞と、暗所での光を感知する桿体細胞があり、色覚の中心となる中心窩(黄斑部)には桿体細胞が最も多く集中している。
  • 結膜は角膜の上を覆う透明な膜であり、目薬(点眼薬)の成分は主に角膜の上に留まって吸収される。
正答:角膜は眼球の外層を覆う透明な膜であり、血管を持たず栄養は涙液や眼房水から供給される。また、神経は豊富であるため角膜への異物接触は鋭敏な痛みを生じる。

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正答はアです。

角膜は血管のない(無血管)透明な組織で、酸素・栄養は涙液と眼房水から供給されます。一方で三叉神経(V₁枝)の豊富な神経終末が存在するため、コンタクトレンズ・異物・目薬の成分への感覚が鋭敏で、痛みの感受性が非常に高い組織です。

誤りを整理します。イは水晶体の厚み変化の向きが逆で、正しくは「近くを見るとき毛様体筋が収縮して水晶体が厚くなり、遠くを見るとき弛緩して薄くなる」です。ウの「排水経路障害→眼圧低下」は逆で、眼圧が上昇します(緑内障の原因)。エの「中心窩に桿体細胞が最多」は誤りで、中心窩には錐体細胞が最も多く集中します。オの「結膜が角膜を覆う」は解剖学的に誤りで、結膜は強膜(白目)・眼瞼の内面を覆います。

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各選択肢の詳細解説:

  • ア(正): 角膜(cornea)は眼球前面の透明な凸状の膜(約0.5〜0.6mm厚)。5層構造(上皮層・ボーマン膜・実質層・デスメ膜・内皮層)からなります。血管がないことで免疫学的に「特別な部位(免疫特権部位)」とされます。三叉神経による感覚神経が豊富で、眼の中で最も敏感な部分です。
  • イ(誤): 水晶体の厚み変化の向きが逆です。正しくは、近くを見るとき毛様体筋が収縮→毛様小帯(チン小帯)が弛緩→水晶体が厚くなる(二重凸状)。遠くを見るとき毛様体筋が弛緩→小帯が緊張→水晶体が薄くなる(平凸)。選択肢イは「近く=弛緩で薄く/遠く=収縮で厚く」と逆に記述しており誤りです(なお老化で弾性が低下し近距離調節が困難になる=老眼、は正しい)。
  • ウ(誤): 房水(aqueous humor)は毛様体で産生→後房→瞳孔→前房→隅角(前房角)のシュレム管から排出されます。シュレム管・線維柱帯の閉塞→房水排出障害→眼圧上昇。これが緑内障(特に開放隅角・閉塞隅角緑内障)の主因です。「眼圧低下」は誤りです。
  • エ(誤): 中心窩(fovea centralis・黄斑中心部)には錐体細胞(cone)が最も多く集中します(桿体細胞はほとんど存在しない)。桿体細胞(rod)は周辺網膜に多く存在します。錐体細胞=色覚・高解像度・明所、桿体細胞=明暗・低照度・夜間視。
  • オ(誤): 結膜(conjunctiva)は眼瞼(まぶた)の内面と強膜(白目)の前面を覆う粘膜です。角膜は結膜に覆われていません。点眼薬は主に結膜嚢(結膜に囲まれたポケット)に点眼し、角膜・結膜・強膜から吸収されます。

目の主要構造まとめ:

| 構造 | 機能 | 特徴 |

|---|---|---|

| 角膜 | 光の屈折(主に)・保護 | 無血管・神経豊富・免疫特権部位 |

| 虹彩 | 瞳孔(縮瞳・散瞳)で光量調節 | 色素量が目の色を決める |

| 水晶体 | 焦点調節(厚み変化) | 老化で弾性低下→老眼・白内障 |

| 硝子体 | 眼球形態の維持・光路 | ゲル状の透明体 |

| 網膜 | 光→電気信号変換(視細胞) | 黄斑・視神経乳頭 |

| 房水 | 栄養供給・眼圧維持 | 毛様体産生・シュレム管排出 |

上級誤答論破・根拠(手引き)まで深掘り

【視細胞の光変換機構(フォトトランスダクション)】

視細胞(杆体細胞・錐体細胞)が光を電気信号に変換する仕組み:

桿体細胞(Rod):

  • 光感受性色素: ロドプシン(タンパク質オプシン + 11-シス-レチナール)
  • 光照射→11-シス-レチナール → オール-トランス-レチナール(光異性化)
  • ロドプシンの構造変化→トランスデューシン(Gタンパク)活性化
  • cGMP PDE(ホスホジエステラーゼ)活性化→cGMP分解
  • cGMP依存性Naチャネル閉鎖→過分極(グルタミン酸放出停止)→光シグナルとして双極細胞へ
  • 暗順応: オール-トランス-レチナール→レチノール→再び11-シス-レチナールに変換(ビタミンA由来)

錐体細胞(Cone):

  • 3種類: L錐体(赤感受・長波長)・M錐体(緑感受・中波長)・S錐体(青感受・短波長)
  • ヒトの色覚は3原色のL/M/Sの信号の組み合わせで決まる(三色説の基礎)
  • 色盲: X連鎖遺伝でL・M錐体のオプシン遺伝子変異(日本人男性の約5%に先天性色覚異常)

ビタミンAと夜盲症:

ビタミンA(レチノール)は桿体細胞のロドプシン再生に必要です。ビタミンA欠乏→ロドプシン再生不足→暗所での光感受性低下→夜盲症(鳥目)。ビタミンA補充で改善可能。

登録販売者との関連: 「暗いところで見えにくい」という顧客に対して、ビタミンA含有目薬・サプリメントを勧める前に、受診して適切な診断を受けることを勧める(白内障・網膜変性等の重大疾患の鑑別が必要)。

【眼圧と緑内障の病態・薬理学】

眼圧(IOP: Intraocular Pressure)の正常値: 10〜21mmHg(個人差あり)

房水の流れと眼圧調節:

```

毛様体(房水産生)

後房(水晶体と虹彩の間)

↓(瞳孔経由)

前房(虹彩と角膜の間)

↓(前房角・隅角)

線維柱帯(トラベクラーメッシュワーク)

シュレム管

強膜静脈→眼静脈→体循環

```

緑内障の分類と眼圧との関係:

| 型 | 前房角 | 眼圧 | 特徴 |

|---|---|---|---|

| 開放隅角緑内障 | 開放 | 多くは上昇(正常眼圧緑内障もある) | 日本人に最多。緩徐な視野狭窄 |

| 閉塞隅角緑内障 | 閉塞 | 急激な上昇 | 急性の激しい眼痛・頭痛・嘔吐 |

| 正常眼圧緑内障 | 開放 | 正常範囲 | 日本人に多い。視神経の血流障害等 |

OTC薬と緑内障の注意点(登録販売者の重要知識):

  • 抗コリン薬(スコポラミン・ジフェンヒドラミン含有薬等): 瞳孔散大→前房角狭小→閉塞隅角緑内障の発作誘発リスク
  • 交感神経刺激薬(α刺激薬: エフェドリン・フェニレフリン等): 散瞳効果で同様のリスク
  • これらの薬の添付文書には「緑内障のある人は使用前に医師・薬剤師に相談」と記載されています
  • 登録販売者の確認事項: 「緑内障の治療中ですか?」を購入者に確認し、ある場合は医師・薬剤師への相談を促す

【コンタクトレンズと角膜の生理・OTC目薬の吸収経路】

コンタクトレンズと角膜への影響:

1. 酸素供給: 角膜への酸素は空気→涙液→角膜表面の経路。ハードCL・ソフトCLは酸素透過性が異なり、低透過CLの長時間装用→角膜低酸素症→新生血管(角膜血管侵入)

2. 涙液・眼房水からの栄養: CL装用により涙液の分布が変わり、長時間装用でドライアイのリスク

OTC目薬の吸収経路:

1. 結膜から血液に吸収(全身循環): β遮断薬含有目薬が全身吸収で徐脈・気管支収縮→心疾患・喘息患者に注意(処方薬だが概念として重要)

2. 角膜通過→眼内組織(前眼部局所効果)

3. 鼻涙管から鼻腔・咽頭粘膜→全身吸収(点眼薬成分が全身に回る経路)

登録販売者として: 目薬を購入する顧客に対して「コンタクトレンズ装用のまま使用できるか(防腐剤ベンザルコニウム塩化物はCLに吸着されるため、CL装用中は使用不可が多い)」「充血除去成分(テトラヒドロゾリン・ナファゾリン等)の連用は反跳性充血を起こす」等の注意喚起が重要です。

<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): 【二重正答を修正】当初は正答ア(角膜=無血管・神経豊富)と選択肢イ(水晶体・老眼)が両方とも正しく、「正しいものを1つ選ぶ」設問で二重正答だった。選択肢イを水晶体の厚み変化の向きが逆(近く=弛緩で薄く/遠く=収縮で厚く)になるよう変更して誤肢化し、正答をアに一意化(解説beginner/standardも整合修正)。房水排出障害→眼圧上昇(緑内障)、中心窩=錐体細胞、結膜は角膜を覆わない、の記述は手引き整合。段差性維持。 -->

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第2章 第5節「感覚器官」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

関連論点

目の構造・角膜水晶体網膜房水と視覚頻出度B

第2章 人体の働きと医薬品の他の問題

1
人体の働きと医薬品
2
人体の働きと医薬品
3
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4
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5
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